八失人員、夜騎大軍、上岸、単身狗、白菜価…「2024隠語ベストテン」に見るトホホな中国
3. 歴史的垃圾時間 (リーシーダラージーシージエン)
重ねて言うが、現在の中国は、未曽有の不景気である。学生や若者たちはろくな就職先がなく、数年前には自宅でブラブラしている「躺平」(タンピン=寝そべり族)が流行語になった。 いまや彼らは、「自分の人生って一体何なのだ?」と自問自答し始めている。そうした中で言われているのが、「歴史(人生)のゴミ時間」という自虐的な言葉だ。
4. 夜騎大軍(イエチーダージュン)
学生や若者の一部は、2年前の11月、3年も続いた習近平政権の「動態清零」(ドンタイチンリン=ゼロコロナ政策)に、我慢の限界となって、「白紙運動」を起こした。これは「ただ白紙の紙を掲げているだけ」という名目で公道に立って抗議したものだが、たちまち当局によって一網打尽となった。 それから1年半あまり経った今年6月、つまり卒業の時節、河南省鄭州の女子大生4人が、「卒業の思い出に開封で評判のスープ肉まんを食べに行く」として、約50kmのナイトサイクリングを敢行。その模様をSNSにアップしたところ、話題を呼んで、マネをする学生たちが増えていった。その背後には、「畢業即失業」(ビーイエジーシーイエ=卒業即失業)という社会の閉塞感に対するストレス発散や、無言の抗議があった。 11月に入ると、「夜騎大軍」(ナイトサイクリングの大集団)となって、8日から9日にかけて最大20万人が集結した。中国国歌を歌ったり、「答えは路上に」(答案在路上)、「自由は風の中に」(自由在風里)といった最近のヒット曲の歌詞をスローガンに掲げてサイクリングする若者もいた。 というわけで、ナイトサイクリングも当局によって厳禁となってしまった。
5. 上岸(シャンアン)
今世紀初め、中国が「入世」(ルーシ=WTO加盟)を果たし、2008年北京オリンピックを決め、燦々たる経済成長に向かっていた頃、「下海」(シアハイ)という言葉が流行した。それまでエリート層の象徴だった国家公務員たちが、続々と職を捨てて、民営企業や外資系企業に転職したり、自ら起業したりした。この現象を「下海」(海に飛び込む)と呼んだのだ。 いまや、その真逆である。「とにかく安定した公務員になりたい」――これがエリート学生たちの最大の夢だ。そこで、晴れて公務員になることを「上岸」(岸に上がる)と表現する。 12月1日に実施された「国考」(グオカオ=国家公務員試験)には、わずか3万人強の募集枠に対し、過去最多の325万8274人が参加した。北京の「中華職業教育社連絡部一級主任課員及び主任以下」という職種の1名の募集に応募したのは、1万5678人! 一体どんな学生が「上岸」するのだろう?