沖縄で2度目、米軍基地めぐる「県民投票」とは? 坂東太郎のよく分かる時事用語
沖縄以外では原発めぐり住民投票
都道府県レベルの条例による初の住民投票は、96年の沖縄県民投票ですが、市町村まで見渡すと同年8月の新潟県巻町(2005年に新潟市と合併)の東北電力巻原発建設の賛否を問う投票が「日本初」です。反対が6割を超え、町長は「主権者である町民の判断は絶対」と認めました。最終的に原発建設は頓挫しています。 巻町のケースは、反対派の町長の下で行われて反対派が勝利し、お墨付きを与えた形です。一方で名護市の場合は、市長が投票結果を覆した代わりに辞任しています。ここから法的拘束力がないとはいえ、一定の政治的効果が期待できるともいえましょう。 今回の沖縄県民投票(3択)や名護市民投票(4択)のように「イエス・ノー」以外の選択肢を含めた、条例による住民投票としては、ほかに2001年の新潟県刈羽村の例があります。東京電力柏崎刈羽原発にプルサーマル計画を受け入れるか否かを問いました。賛否以外に「保留」が加わっています。 この選択肢の意味は、当初は「核燃料サイクルの確立まで保留」でした。核燃料サイクルとは、使用済み燃料からプルトニウムを抽出して高速増殖炉で使うと説明されてきましたが、当時、日本で唯一の高速増殖炉(原型炉)「もんじゅ」が事故を起こして再開のメドが立たなくなりました(結局2016年に廃炉が決定)。そこで、いわば次善策としてウランとプルトニウムを混合酸化物燃料(MOX燃料)にして、すでにある原発で再利用しようというのがプルサーマル計画です。 「核燃料サイクルの確立まで」の文言が抜けたのは、「確立」の目算がまるで立たず、かつ核燃料サイクルは国策なので条例になじまないとの意見に配慮した結果でした。ただ単に「保留」だと「私には決められない」なのか「受け入れ保留だから反対と同じ」なのか玉虫色で、票数によっては混乱要因になり得ました。結果は反対が賛成を10%上回り、保留が4%に止まったため、どちらと解釈しても反対多数という決着をみたのです。