寄り添えるか、優しくできるか――綾野剛と常田大希が語るクリエイティブの「原点」
闇と光を行き来している
「幸せを感じる瞬間」について聞くと、綾野も常田もクリエイティブに関するシーンを挙げた。作品を通して、喜びに満ち溢れる瞬間も、高揚する瞬間も、涙を流す瞬間も、ふたりは共有してきた。 綾野「一番ビビッドに幸せを感じるのは、仲間が新しい作品を発表したときに受ける刺激というか高揚感というか。たまんないよね」 常田「身内がかっこいいことをやってるとか、かっこいいものを作ってるとか、すごい躍動してるのを見るのは幸せだよね。『ヤクザと家族』の映画の主題歌のオファーをもらって、オフライン(仮編集映像)を見たときは幸せを感じたね。理想として思い描くクリエイションができない20歳ごろの自分と今を比べて、『こんな最高の映画と関われる環境になったんだ』ってすごい幸せを感じたね」 綾野「初めて『FAMILIA』を聴いたのはカフェで。『剛ちゃん、まだ完成してないけど、できたから聴いてよ』なんて言って。聴き終えて俺がぽろぽろ泣いてたら、『けへへへ』とかって笑われて。で、試写を大希と一緒に見たとき、『明かりついて俺泣いてたら、また大希に笑われる』と思ったから、涙を拭いて。明かりついて、『大希よかったね』って言ったら、大希が大号泣してて。あんときは幸せを感じた」 常田「こういう仕事やってても、なかなかそういうことってないからね。やっぱ作品ができたときに満足できることが幸せじゃない?」 綾野「涙と笑顔って限りなくフィフティーフィフティーの存在であると思ってるから、あのとき、その両面が互いに見れたのは、やっぱものすごく幸せなことだよね。多面性の幸せも感じるけど、局面性で自分たちの仕事で幸せを感じることが、きっと一番の幸せだから」 常田「いや、いい経験だった、ほんと」 綾野「光のないところに人は集まらない。でも、闇でしかクリエイティブは生まれない。だから、闇と光を行き来してるだけ。でも、まずは楽しむために、自分たちは本気で向かい合う。うまい飯を食って、同じ釜の飯を食べて、最高の作品をつくるために、環境から変えていける努力をしていく。そして、新しい世代とかもいる。エンターテインメントを続けていくことの喜びみたいなものを、自分たちがまず感じてないと誰にも伝わらない」