マスターズで首位に3打差6位タイの松山英樹は逆転可能なのか?
ピンまでの距離は約13m。マウンドを越える難しいラインだったが臆せずに打つと、最後はピンに当たってカップイン。初日の8番(パー5、570ヤード)に続く、起死回生のイーグル奪取で通算4アンダーへスコアを伸ばすと、15番(パー5、530ヤード)でもバーディーを奪った。 このホールではグリーン手前に広がる池を、ギリギリで越える2オンに成功していた。しかし、5.5mのイーグルパットはカップのわずか右をかすめてしまった。パッティングに対して抱いた違和感は、続く16番(パー3、175ヤード)で3パットを叩く痛恨のボギーにつながってしまった。 それでも、ローズがスコアを伸ばせなかったことで、射程距離となる3打差で松山は運命の決勝ラウンドを迎える。日本人男子では史上初となる、4大メジャー初制覇の夢は今度こそかなうのか。勝負はムービングサタデーと呼ばれる、スコアが大きく動きやすい3日目にかかってくる。 昨年のマスターズを振り返れば、初日、2日目とともに4アンダーをマークした松山は首位に1打差の6位タイで迎えた3日目でイーブンパーとスコアを伸ばせなかった。対照的に3日目だけでスコアを7つ伸ばしたジョンソンが、最終日も4アンダーで回ってグリーンジャケットに袖を通した。 松山は2019年大会の2日目から9ラウンド連続で、マスターズの舞台でオーバーパーを叩いていない。安定感は群を抜いているが、頂点に立つために必要不可欠な、ここ一番での爆発力に欠けている。2017年8月のブリヂストン招待を最後に、PGAツアー優勝から遠ざかっている一因と言っていい。 何かを変えたいという思いに駆られたのか。20代で最後の年となる今シーズンを戦うにあたって、アメリカツアーを主戦場とする河本結(22、リコー)をはじめとする、日本人女子のトップ選手を指導してきた実績で知られる、ひとつ年上の目澤秀憲氏とコーチ契約を結んだ。 東北福祉大在学中だった2013年にプロに転向した松山は、特定のコーチをつけなかった。独力で戦ってきた男が、日本大学卒業後にボストンへ留学し、難関とされるアメリカのレッスンライセンスTPIを取得するなど、豊富な知識とノウハウをもつ目澤氏とのタッグに初めて変化を求めた。