「ママチャリで園の送迎をしていたら…」主婦が50歳で競輪選手に!おおいなる転身の理由が明らかに「漫画のような話ですね」
当時は義母と同居していて、私が食事作りを担当していたんです。糸魚川のレースに出場する際は、出発前夜に家を空けるあいだの料理の作り置きをしていました。準備や家事に追われ、寝ないままレースに出たんです。レース途中、睡魔に襲われて15~20分ほど地べたに寝転がり仮眠をとりました。時間ロスにもなったのに、約11時間でゴールしました。なんと女子の部で1位になったんですよ!それでさらに自転車にのめりこんでいきました。
■「年齢制限がない」プロになろうと50歳を前に受験 ── プロをめざしたのはどんな経緯がありましたか? 高松さん:さまざまな大会に参加し、長距離レースは負け知らずでした。いろんな大会で何連覇もしていたんです。でも、15キロ、20キロのレースは最後の200メートルの勝負「スプリント」でいつも競り負けていました。どうしたら勝てるのかと考えていると、自宅近くの川崎競輪場で走り方を教えてくれる講座があると聞き、電話で問い合わせてみました。すると、その講座を受けるのはプロをめざす若い人ばかり。私は「プロをめざしている子どもにつき添っているお母さん」と思われていたようです。それでも講座の開催日時を聞き、競輪場に行ったところ、その日に限って時間変更があり、私が到着したときには誰もいませんでした。
「あれっ?」と思っていたら、ある競輪選手が声をかけてくれたんです。「私はレースに参加していて、どうしても勝ちたいんです」と話すと、「そんなに熱意があるのなら」と練習を見てくれることになりました。丁寧に教えてくれたおかげで、もともと得意だった長距離はもちろん、苦手だったスプリントでもおもしろいように勝てたんです。どの大会でも優勝するのが当たり前という感じでしたが、40代半ばで出場した自転車レースで15歳の選手に負けてしまいました。もう世代交代かもしれないと焦り、もっと練習しなくてはと思いました。でも、当時は水泳コーチから転職し、小学校の臨時教員として働き、家事にも時間がとられていたから、練習の時間がなかなかとれなくて。