女子陸上金メダリスト、セメンヤへの“差別的裁定”に賛否。ナブラチロワは「判決は不公平」と猛烈批判
スポーツ仲裁裁判所(CAS)はリオ五輪女子800メートルの金メダリスト、キャスター・セメンヤ(28、南アフリカ)が異議を申し立てていた国際陸連が定めた新規則に関する訴えを棄却した。国際陸連は男性ホルモンの数値を示すテストステロン値が規定値より高い女子選手の国際大会への出場を制限する新しい規定を定め、セメンヤは新規定の無効をCASに申し立てていたが、「新しい規定は差別的ではあるが、競技の公平性を保つためには必要で合理的なルール」と認定。新規定はさっそく、この8日から実行され、抑制剤などを使いテストロン値を新規則以下に下げなければ、セメンヤは障害種目を含む400メートルから1マイル(1600メートル)の国際大会に出場できなくなる。セメンヤは、2009年の世界陸上で金メダルを獲得した後から、その性別に疑惑をかけられ、様々な議論のある中、国際陸連はテストロン値に制限をかける新規約の導入に踏み切ろうとしていた。海外メディアの間では、今回のCASの裁定を問題視する意見が多くみられ賛否が議論されている。 米のヤフースポーツは、「今回の裁定は性転換をした女性についての制限や規定ではなく、性への身体的違和感がありホルモンを服用するアスリートを対象としているものではない。セメンヤは性転換女性ではなく、女性として生まれ、女性として人生のすべてを過ごしてきた。だが、彼女の体は、普通の女性として考えられるよりもテストステロン値が高い。国際陸連とCASは、彼女が決められた距離の競技に出場するためには彼女の体が通常生み出すものを抑制するホルモンを取らなければならないと決定した」と説明した上で、「その規制が公正に適用されるのかという懸念に加え、この規則には、3つの分野で別の懸念を伴っている」と問題提起した。 「1つ目は、この規則を実施することで新たな問題が生まれること。2つ目は、テストステロン値を上げることで、女子アスリートが1500メートルと1マイル(1600メートル)競技で優位に立てるという証拠が明らかにされていないこと。3つ目はホルモンの抑制による副作用が深刻になる可能性があること」とCASが認定した国際陸連の新規則の問題点を指摘した。