女子陸上金メダリスト、セメンヤへの“差別的裁定”に賛否。ナブラチロワは「判決は不公平」と猛烈批判
CBSニュースは、昨年、この新規則に対する抗議のため国際陸連の役職を辞任した南アフリカの法律教授、スティーブ・コーネリアス氏の「女性アスリートに不必要な薬を取らせるように強要することは道徳に反する。実際に健康な人間を患者へと変えようとしている」という怒りのコメントを紹介した。 コーネリアス氏は、「エリートアスリートとは、一般の人々よりも、ある程度の優位性があることで、そう定義されるものだ。たとえば、身長のとても高い高跳び選手がいれば、その高跳び選手は、不公平な優位性を持っているとされるのか。もしくは規格外に太い腕を持っている投擲選手に対して議論が生まれるのか」と、今回の裁定を批判した。 英国のBBCも、今回の裁定に対する関係者の意見を紹介した。 テニスのグランドスラム大会を18度制したマルチナ・ナブラチロワ氏は「セメンヤに対する判決は、彼女にものすごく不公平で原則として間違っている。彼女は何も悪いことをしておらず、今、彼女が競技をするためにホルモンを抑制するような薬物を取らねばならないと決めたことはひどいことだ。一般の規定は、例外的なケースから作られるべきではく、性転換をしたアスリートに関する疑問も未解決なままだ」と批判。 一方、女子マラソンの世界記録保持者のポーラ・ラドクリフは「CASにとってこの決断がどれだけ難しいものだったかを理解している。女子スポーツが守られるためにルールが必要だとする規定に敬意を持っている」と、今回の裁定を支持した。 またBBCで「性とアイデンティに関する記者」を務めるメガ・モハン記者は「セメンヤの身体的な能力は、ウサイン・ボルトの身長やマイケル・フェルプスのリーチの長さと同様にほめたたえられるべきではないのか。どちらにしてもこの判定は、論争の終わりを示してはいない」と指摘した。 NBCニュースは「セメンヤの支持者の何人かは、国際陸連の定めた規定は、彼女が競わないレースについては適応されないことから、彼女を個人的にターゲットとしたもので、彼女が黒人(選手)だからだと話している。彼らは、また似たような規定が、なぜ男子選手にはないのかと疑問を呈している」と今回の裁定の問題点を指摘。 また女性の権利を訴える「ウーメンズマーチ(女性の行進)」が「規定は人種差別、性差別、トランスジェンジャーへの差別だ」とするツイッターを発したことも紹介した。 セメンヤは今回のCASの裁定に納得しておらず、今後の動向が注目される。