NY州裁、トランプ氏に出廷命令-10日に「口止め料」量刑言い渡し
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領は大統領選挙に勝利したことを根拠に、いわゆる不倫口止め料の不正処理で受けた有罪評決の破棄を求めていたが、ニューヨーク州地裁のマーチャン判事は3日、これを再度退けた。
今月下旬の大統領就任式を前に、刑事裁判での有罪評決を破棄したかったトランプ氏のもくろみは失敗した。
マーチャン判事は1月10日の量刑言い渡しに出廷するようトランプ氏に命じた。量刑は条件を伴わない刑罰の放免が最善の選択肢になると述べ、収監はしない方針を示唆した。
判事は大統領特権を理由に有罪評決を無効にするというトランプ氏の要求について、次期大統領にはそのような特権は存在しないと指摘。トランプ氏本人が量刑言い渡しに出廷するか、オンラインで出廷するかについて、今月5日までに決定するよう求めた。
判事は収監しないことによって「無条件の刑罰放免」が最も実現可能な解決策だと述べ、トランプ次期大統領は有罪評決が記録に残る以外には実質的な罰則を受けないことになると説明。理論的にはトランプ氏は最長4年の禁錮刑を言い渡される可能性もあったが、検察側はすでに「現実的な勧告ではない」と譲歩したと判事は述べた。
「この裁判所は評決後、合理的な期間内に被告に量刑を言い渡さなくてはならない」と判事は説明。「被告には可能な限りあらゆる上訴の利用が認められなければならない。被告はその意向を明らかにしているが、それは量刑を言い渡されて初めて完全に利用可能になる」と述べた。
トランプ氏が2016年の選挙前、ポルノ女優への口止め料を不正に会計処理したとして、ニューヨーク州地裁は5月、34件の重罪で有罪評決を下した。
トランプ氏は4件の刑事訴追と闘いながらホワイトハウスへの復帰を目指したが、選挙前に公判が開かれたのはニューヨーク州の「口止め料裁判」だけだった。
同氏はこれらの刑事事件について全面的に無罪を主張。訴追は同氏のホワイトハウス返り咲きを阻もうとする「魔女狩り」の一環だと主張していた。