なぜ浅野拓磨はパルチザンの電撃退団を決断したのか…「度重なる給与の未払い」…クラブ側は反論、法廷闘争の構え
ヨーロッパの主要1部リーグでプレーしている日本人選手のなかで、シーズン歴代最多となる18ゴールをマークしている日本代表FW浅野拓磨(26)が2日、所属していたセルビアの強豪パルチザンとの契約を解除したと電撃的に発表した。 対するパルチザンもすぐに反応。クラブの公式ウェブサイトで「契約条項に違反する、自発的で根拠のない退団。あらゆる法的手段を講じて、FIFA(国際サッカー連盟)の管轄機関に提訴する」と表明するなど、真っ向から反論した。 パルチザンで2年目のシーズンを終えようとしている浅野は2日に、自身の公式ラインブログ、ツイッター(@AsaTaku29)、インスタグラム(@asatakugram)をそれぞれ更新。投稿のなかでパルチザンを退団した理由を、英語と日本語で説明した。 「私、浅野拓磨はこの度パルチザン・ベオグラードとの選手契約を解除しました。この決断をするにあたり、凄く悩みましたがクラブによる度重なる給与等の未払い、今現在も相当額の未払いがあります。またそれに対する不誠実な対応によりクラブからのリスペクトを感じられなくなってしまった事がこの決断の理由です」 給与などに関しては「今現在も相当額の未払いがあります」とも補足したが、同時にサポーターを含めた、パルチザンに関わるすべての人々への感謝の思いも綴っている。 「パルチザンは自分にサッカー選手としてのチャンスを与えてくれたクラブであり、とても大切なクラブです。(中略)ベオグラードで出逢った全ての人に感謝しています」 三重県の強豪・四日市中央工業高からサンフレッチェ広島に加入した浅野は、2016年夏にプレミアリーグの名門アーセナルへ完全移籍。労働ビザを取得できなかった関係ですぐにシュツットガルト、ハノーファー96へ期限付き移籍して武者修行を積んだ。 残念ながらアーセナルでデビューを果たせないまま、2019年夏にセルビア・スーペルリーガで最多となる8回の優勝を誇るパルチザンへ完全移籍。リーグ戦23試合に出場して4ゴールだった昨シーズンをへて、今シーズンに大ブレークを果たした。 32試合で叩き出した18ゴールはスーペルリーガの得点ランクで、セルビア代表歴もある首位のFWミラン・マカリッチ(ラドニク)に5ゴール差の2位に名を連ねる。8アシストも記録している浅野は、カップ戦でも3ゴールをマークしている。 残り4試合となったスーペルリーガで、パルチザンは2位につけている。しかし、勝ち点で12ポイント差をつけられ、得失点差でも大きく後塵を拝している宿命のライバル、レッドスター・ベオグラードの4連覇がほぼ確実となっている。