【バレーボール】男子新監督発表も前途多難 特定選手〝単推し〟は人気押し上げにならず
人気定着への壁はまだまだ高そうだ。日本バレーボール協会(JVA)は25日、男子日本代表の新監督に、男子フランス代表を2021年東京五輪金メダルに導いたロラン・ティリ氏(60)が就任すると発表。JVAを通じ「新たな冒険の始まりが待ち遠しいです」と決意を語った。 現役時代には2度の五輪に出場した名選手で、20年にフランス代表と兼任でVリーグ(現SVリーグ)パナソニック(現大阪ブルテオン)の監督に就任。今季から新設されたSVリーグでチームを首位(25日現在)に導くなど、日本人に合わせた指導術が高く評価されている。JVAの川合俊一会長も「日本の選手やチームの特徴、文化への深い理解が、日本代表の力をさらに引き上げてくれると期待しています」と太鼓判を押した。 男子日本代表は5~6月に開催されたネーションズリーグで銀メダルを獲得。パリ五輪は準々決勝敗退に終わったが、人気と実力を兼ね備えた石川祐希(ペルージャ)、高橋藍(サントリー)、西田有志(大阪ブルテオン)を中心に注目度が右肩上がりだ。11月3日に行われたSVリーグのサントリー―東京グレートベアーズ戦では、入場者数が前身のVリーグ(詳細な記録が残る2006~07年シーズン以降)時代を含めて史上初めて1万人を超えた。 しかし、楽観視する声は少ないのが現状だ。あるバレーボール関係者は「今は石川選手や高橋選手を好きなファンが会場に来ている。1万人以上が入ったSVリーグの試合も高橋選手がサントリーにいたからこそ。まだバレーボールを好きという〝箱推し〟ではなく、特定の選手が好きという〝単推し〟の状態。そこは同じ五輪競技でもフィギュアスケートとの違いだね」と厳しい見方を示す。バレーボール界全体の人気を押し上げるためには、結果を残し続けることが必須。28年ロサンゼルス五輪で〝ティリジャパン〟はメダル獲得が求められそうだ。
中西崇太