ロシア北極圏で核実験の準備進行 衛星画像、「臨界前」の可能性
ロシア北極圏ノバヤゼムリャ島の核実験場で、新たな核実験の準備が進んでいる可能性が高いことが8日分かった。ロシア軍事に詳しい東大の小泉悠准教授が衛星画像を分析した。実験場では昨年から工事が活発化し、最大の地上施設がほぼ完成。小泉氏は異例の動きだと述べ、核爆発を伴わない臨界前核実験などの可能性があると指摘した。大型施設は実験関連施設とみられるという。 小泉氏はロシアの意図について「(ウクライナを支援する)欧米への威嚇だ」とみている。 ノバヤゼムリャ島では旧ソ連時代の1955年から90年まで、大気圏内や水中、地下で約130回の核実験が行われた。臨界前核実験は核兵器の改良や性能評価が目的で、ロシアは90年代に繰り返し、近年では2004年に実施した。 臨界前核実験は包括的核実験禁止条約(CTBT)に抵触しないが、専門家によると、米当局は19年、ロシアがCTBTに違反する核実験を行った可能性があると示唆し、ロシアは否定。一方、米国は臨界前核実験を続け、バイデン政権は21年にネバダ州で2回行った。