こんなのあったの? 知る人ぞ知る「スーパーカー」 ひっそりと “消えた” 珍車 50選 前編
コディアックF1(1983年)
1983年、セルビア人のムラデン・ミトロヴィッチがフランクフルト・モーターショーでスーパーカーを発表した。最高出力320psのシボレー製5.4L V8を搭載したコディアックF1(Kodiak F1)は、どの国のどんなクルマにも負けないと謳われた。 ガルウイングを持つメルセデス・ベンツC-111にインスパイアされたデザインで、1日中270km/hの速度で走ることができ、絶対的な信頼性があるとされていた。後の改良型にはメルセデスの5.6L V8が搭載されるはずだったが、こちらは実現しなかった。
イスデラ・インペラートル(1984年)
メルセデス・ベンツは6年の歳月をかけて製作したコンセプトカー「CW311」を1978年に発表するが、市販化には至らなかった。そのため、CW311のデザイナーであるエバーハルト・シュルツが自らイズデラというブランドを使って生産を開始した。 彼はこのスーパーカーを「インペラートル(Imperator)」と名付け、排気量5.0L、5.6L、6.0Lの各種V8エンジンを用意し、最高出力390ps、最高速度280km/hを実現した。生産は1993年のイズデラ倒産まで続き、30台のインペラートルが世に送り出された。今でも時々、40万ポンド(約7700万円)前後で売りに出されることがある。
チゼータV16T(1989年)
極限のスーパーカーと言える1台。こんなにも車幅が広いのは、排気量5995ccのV型16気筒エンジンを横置き(!)でミドシップに搭載しているためだ。 最高出力560ps、8000rpmという驚異的な回転数を誇り、64個のバルブを駆使して全開走行するときの騒音は、聞く者に畏敬の念すら抱かせるものだ。V16Tは最高速度328km/hに達すると言われていたが、公式なテストは行われておらず、真相は誰にもわからない。1989年にプロトタイプが完成したが、納車が始まったのは1992年、生産が終了したのは2003年だった。
ジオット・キャスピタ(1989年)
1989年にジオットが発表したキャスピタ(Caspita)は、「サーキットまで運転し、競技に参加し、そのまま帰宅する、そんな生活ができるクルマ」と謳われていた。 当初はデチューンされたF1用V12エンジンを搭載していたが、1990年にはジオット製のV10に切り替えた。どちらも最高速度320km/h以上とされたが、結局顧客の手に届くことはなかった。