年金保険料の納付期間を5年延長すると受取額は年間いくら増える? 元は取れるの?
国民年金は保険料納付期間が増えるほど、受給額も増える仕組みです。 本記事では、国民年金保険料を5年間延長して納めると、どれくらいの年金増額が見込めるのか、元は取れるのかという疑問に答えるとともに、反対に国民年金保険料の未納期間がある場合の影響についても解説します。
老齢基礎年金の給付額が決まる仕組み
老齢基礎年金の給付額は、以下の計算式で算出されます(※令和5年4月の水準)。 老齢基礎年金の年金額=79万5000円×国民年金保険料の納付済月数(※免除月数は免除割合に応じて計算)÷480月 国民年金保険料の納付済月数に比例して、年金額が増える仕組みです。 年金の繰り上げ受給を選択した場合は上記の式で計算した金額を基礎として、繰り上げた月数に応じた割合が減額されます。繰り下げ受給を選択すると、繰り下げた月数に応じて増額された年金を受け取れます。
年金保険料の納付期間を5年延長すると年金の受取額はどうなる?
現行の国民年金では、保険料の納付期間は原則として60歳までです。しかし、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない人や、納付済期間が40年に満たず満額の老齢基礎年金を受給できない人は、60歳以降65歳までの最長5年間、国民年金に任意加入して保険料を納められます。 最長の5年間任意加入をした場合、5年間の保険料納付額は総額99万1200円です(令和5年の保険料額の場合)。対して、受け取れる年金は年間約9万9300円増え、トータルの増加額は以下のようになります。 ・70歳時点:約49万6000円 ・75歳時点:約99万3000円 ・80歳時点:約149万円 つまり、5年間延長して国民年金保険料を納めた場合、65歳から75歳までの10年間年金を受給すれば、元が取れる計算です。さらに5年後の80歳まで年金を受給すれば、約50万円得をすることになります。
国民年金保険料の未納は損をする
厚生労働省の発表によると、令和5年8月末時点の国民年金保険料の3年経過納付率は、約8割と伸び悩んでいるのが現状です。国民年金保険料の未納月数が増えればそれだけ将来もらえる年金額が減るため、老後の保障を考えると欠かさずに納めることには大きなメリットがあります。 例えば、国民年金保険料の未納期間が5年間あり保険料納付済期間が35年に短縮された場合、老齢基礎年金の年金額は満額と比べて年間で約9万9300円減ることになります。1年間ではそれほど大きな金額に感じないかも知れませんが、10年間で99万3000円、15年間で約149万円と考えると、大きな損失だと言えるでしょう。 また、受給資格期間が10年を切ると、年金を受け取れなくなるリスクにも注意しなければなりません。未納のまま放置した年金は、2年が経過すると時効によって後から納付できなくなることも覚えておきましょう。