東洋大姫路・背番号10、広島商や敦賀気比1年生好投…控え投手が神宮大会で自信
11月に行われた明治神宮野球大会高校の部は、背番号2桁の投手にもスポットライトが当たる大会だった。球数制限の導入で、勝ち上がる上で複数の投手が必須になりつつある高校野球。2本柱を擁して優勝した横浜(神奈川)だけでなく、敗れた学校の控え投手も自信や課題を持ち帰った。(松本慎平) 【画像】明治神宮大会、横浜高が27年ぶり2度目V…広島商との接戦制す
東洋大姫路(兵庫)の背番号10、末永晄大(2年)は、準々決勝・二松学舎大付(東京)戦で神宮初先発を果たした。チームには近畿大会3試合で完投し、神宮初戦でも好投した同学年のエース阪下漣がいる。だが、投手陣の層を厚くしたい岡田龍生監督は「公式戦で投げる方が緊張感もあり、何かをつかめる」と2戦目の先発に末永を抜てきした。
末永は二回以降、毎回走者を背負ったが、左腕から右打者の内角を突く強気の投球でピンチをしのぎ、6回無失点で勝利の立役者となった。
何よりも意味があったのは、「自信がなかった」というチェンジアップで4番打者から空振り三振を奪ったこと。右打者の外角低めに決め「公式戦で、チェンジアップで三振を取るのはたぶん初めて」と投球の幅の広がりに手応えを感じた。
広島商(広島)は横浜との決勝戦、0―4の三回一死満塁で背番号20の1年生左投手・片岡虎士をこの大会初めて起用した。空振り三振と二飛でピンチを脱すると、その後も100キロに満たないカーブを駆使し、七回までゼロを並べた。
チームは1点差で敗れたが、荒谷忠勝監督は「試合を作り直してくれた」と称賛。片岡虎は「球速や決め球の制球に課題を感じた」と、高いレベルでこそ手にできる宿題を得た様子だ。
敦賀気比(福井)の1年生右腕・中川瑛心は北信越大会ではベンチ外。同じ1年生投手2人が活躍する姿に悔しさをこらえた。その後の試合での投球が認められて背番号11を勝ち取り、神宮大会準決勝の広島商戦では4回を1安打1失点と好投。「もっと三振を取れる投手に」と直球、変化球ともに磨くことを決意した。
優勝した横浜には、1年生右腕・織田翔希と2年生左腕・奥村頼人の強力な2本柱がいた。来春の選抜大会を勝ち抜くには、「2桁」の成長が欠かせない。