親しい友達が1人もいない人が増加中…秘密を共有したり悩みを打ち明けられる友達は必要?【専門家が解説】
友情が必要な理由とは?
私たちの健康において、信頼できる友人がいるということが、どうしてそんなに重要なのだろう? 「人間には、共同体感覚と社会的支援が必要だからです」と説明するのは、健康心理学者のスーラ・ウィンドガッセン博士。 「常に大勢の人に囲まれていなければならないということではありません」。実際に、深い友人関係を維持できる人数には限りがあるという。進化心理学者ロビン・ダンバー博士の研究によると、なんでも悩みを打ち明けられる友人は5人が限界であることがわかった。2020年のある研究では、親しい友人が3人もいれば、充足感を十分に感じられることが示されている。 「ですが、心から頼れる人がいるという感覚は、精神的、身体的な健康において大変重要です。例えば、社会的支援は私たちが受けるストレスの影響を大きく緩和します。ストレスが緩和されなければ、免疫系に影響を与えることになります」と、ウィンドガッセン博士。 この論点を説明するために、ウィンドガッセン博士はある研究を引用した。その研究では、ストレスを受けている被験者たちは、ストレスを受けていない被験者たちよりも、小さな傷が治るまでに9日長くかかることがわかっている。 秘密を共有したり、アドバイスを求めたり、金曜日の夜を気兼ねなく過ごすなら、恋人や家族のほうがいいと感じる人もいる。だけど、すべての人に恋人や家族がいるわけじゃない。恋人や家族とは違って、友人だけに見せられる自分の姿だってある。
友情がもたらす脳へのメリット
実際、女性にとって女性同士の友情は、ある意味でロマンスを超えるものになる。進化人類学者のアンナ・マシーン博士は、恋愛関係の利点と友情関係の利点を比較する研究に取り組み、次のように話している。「女性同士の関係でわかったことは、恋人との関係よりも、女性の親友との関係のほうが、感情的に親密であるということです」 そして友人の存在にはさらなる健康メリットがあるのだとか。「親しい友人といると、ドーパミンやβエンドルフィンなどの神経化学物質が多く分泌されます」と、マシーン博士。 ドーパミンは報酬系の化学物質であり、インスタにかわいい写真を投稿して、いいねをいっぱいもらえたときなどに放出される。βエンドルフィンは、天然のアヘン剤のようなもので、多幸感や温かさ、充足感、深い絆などを感じさせてくれる。