親しい友達が1人もいない人が増加中…秘密を共有したり悩みを打ち明けられる友達は必要?【専門家が解説】
「親しい友達が1人もいない」背景にある原因とは?
ここまで読んだなら、「親しい友達が1人もいない」という問題が決して小さなものではないことを理解できたはず。もし、これがあなたの社会生活に影響を与えていると感じるなら、それを自身の「失敗」と考えるべきじゃない。 ウィルソン博士が推察する、ここ数十年で人々の友情が薄れている原因は以下のようなものだ。 仕事を求めて引っ越す人が増え、長年の友人関係を気軽に手に入れることができなくなっていたり、都市の賃貸市場の激しい変動のために頻繁に引っ越すことを余儀なくされ、近所の人々との深いつながりを築くことができない。さらには、生活費が高騰し、長時間労働や副業をしなければならず、友人関係を育む時間がほとんど残されていないetc. ウィルソン博士が言及した構造的要因以外にも、深刻化する問題がある。 「私たちは資本主義の中で生きており、個人が自分自身を向上させ、自分自身の成果に集中することに重点を置いています」 と、ウィンドガッセン博士。「これは、横のつながりがない独立した状態に変化する可能性があります」。また、何年にもわたる緊縮経済は、保育センターや地元の花火大会のようなコミュニティイベントなど、人々に素晴らしい共同体感覚をもたらす社会的構造を削減している。これが、自分たちが広いネットワークに属しているのだという感覚を失わせているという。 さらに、他人との距離を物理的に空けることが法的に強制されていたパンデミック社会に溶け込んでしまったことも、大きな要因のひとつ。 「友人との関わり方が突然変化し、一緒に暮らす人以外には会うべきではないといわれる状況になりました。ルールが緩和された今でも、少人数で過ごしている人がほとんどです」と、ウィンドガッセン博士。 これは、友人を含め、サポートネットワークという広範的な理解から私たちを遠ざけ、一握りの人たちで構成される非常に狭いネットワークへと私たちを導く可能性があった。一度疎遠になった友情を再び復活させるのは難しいものだ。