古巣相手に天王山で敗戦直後、SWHレディース西宮・四井沙樹が“強がり”ではなく貫いた「楽しんだら、勝つ」という信念【インタビュー|女子Fリーグ】
女子Fリーグ初優勝を目指すSWHレディース西宮にとって、無敗で迎えたレギュラーシーズン最終節は、なんとしても勝利で終えたかったはずだ。しかし、昨シーズンの女王、バルドラール浦安ラス・ボニータスを相手に先制点を挙げながらも2点を返され、あと一歩が届かずに初黒星を喫した。 【画像】女子Fリーグ週間ベスト5一覧 試合後、監督代行を務めた高橋美香コーチを始め、涙を見せる選手の姿を目の当たりにし、西宮がこの試合に懸けてきた思いの強さを感じた。しかし、一人の選手の表情が、“敗者”のそれではないように映った。 今シーズン途中からチームに加わった四井沙樹だ。 2018年に日本代表としてAFC女子フットサル選手権に出場した四井は、今年7月にスペイン1部のポイオ・ペスカマールから西宮へ加入した。スペインに渡った1年半でリーグ優勝を経験した彼女は、日本でもその実力を見せつけた。第6節のフウガドールすみだレディース戦から出場すると、素早い縦突破と150cmの身長ながらフィジカルの強さを発揮し、日本のトップ選手が集まる西宮でもあっという間に中心選手の一人になった。 「決めきれていれば、勝てました」 彼女にとって、スペイン挑戦前まで8年間所属した浦安との古巣対決。そんな相手に敗れた試合後に発する言葉は、たしかに悔しそうではある。それでもなお、彼女は「そんなに悲観することではない」と続けた。 その言葉が強がりではないことは、四井の話を聞いてすぐに納得できた。浦安時代、3連覇を遂げたメンバーとして積み重ねてきたもの、スペインのピッチでリアルに感じたこと、その経験を経て、西宮を選んだ理由。その一つひとつがつながって、彼女は今、フットサルを心から楽しんでいて、そしてその先にある勝利を信じているのだろう。 「楽しんだら、勝つ」 よどみなく告げるその言葉に、試合後、表情を変えずにじっと前を見つめていた四井の真意が詰まっていた。 インタビュー・文=伊藤千梅 編集=本田好伸