ラッコやジュゴンを月へ? DNA貯蔵庫を月に設置する計画
ここが一番安全? 暑いです。毎年のように暑い暑いと叫ばれてますが、でも今年の夏は、やっぱり異常に思えます。このままいったら、もうどうなってしまうんでしょう? えっ、人類は終末に備えたほうがよい? そのカギは月にあったりして。
終末貯蔵庫を月面に!
実は地球規模の絶滅の危険に備えるべく、すでに世界の植物の種子を方舟に収め、北極圏で管理する「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」が運用中。たとえ特定の作物が絶滅してしまっても、その貴重なサンプルが確保されています。ですが、ここまで地球温暖化が進むと、たとえ北極圏でも安全に保管しておくのは難しいかもしれません。 そこで、このほどOxford Academicに公開された論文では、動物のDNAサンプルなどを保存する貯蔵庫を、月面で管理する計画が明らかにされました。貯蔵庫の基本は凍結保存。その点、月の南極付近には、常にマイナス196度を下回るエリアが存在することから、理想の保管場所になるというわけです。
課題は山積みも、地球のどこかより安全?
絶滅危惧種などを中心に、地球上のどこかへできるだけ早く動物のDNAサンプルなどを確保して安全に保存する。これが貯蔵庫の理想ながら、もし地球全体でトンでもない展開になってしまったなら? ラッコやジュゴン、イリオモテヤマネコなどなど、日本国内にも生存が危ぶまれている動物たちが存在します。いつのまにか、ニホンオオカミのように、地上から消滅してしまう悲劇を繰り返さないため、月の貯蔵庫に送ってあげたいものです…。 もちろん、月面に設置する計画に問題がないわけではありません。まずはコスト面ですけど、いざ月面に設置さえできれば、冷凍プロセスにかかるコストは、地球上より低く抑えられそう。ただし、無重力空間ならびに放射線による汚染対策など、地球とは異なる環境への対応コストは多大です。あとなによりも、地球から月へと安全に送り届けたり、クローンを作成するため月から地球へDNAサンプルを持ち帰るのも簡単ではないでしょう。 そうはいっても、いま地球外のどこかへ、絶滅に備える安全装置を置く案が語られねばならないレベルまで、地球規模の災害などへの危機感が高まっているのも事実。月を飛び越え火星という選択肢だって、真剣に考えなければいけないときがきているのかも? Source: Oxford Academic
湯木進悟