ビキニ美女だらけでまるで海水浴場!? 祭りの夜の「飛田新地と松島新地」を歩く
風俗ジャーナリスト・生駒明氏のルポ『飛田新地の歩き方・3』。前編「〝魔法が解ける奇跡の2日間〟飛田新地の夏祭りを完全実況!!」では、夏祭りの様子を詳しくお伝えした。後編では、祭りの夜の飛田新地の様子と、松島新地のお祭りについて紹介する。 【誘蛾灯のよう】すごい…妖しい魅力でお客を誘う飛田本通商店街のカラオケ居酒屋群 前編「〝魔法が解ける奇跡の2日間〟飛田新地の夏祭りを完全実況!!」 ◆ビーチリゾートのような真夏の夜の飛田新地 流行っている。人でいっぱいである。大阪の夏祭り〝天神祭〟の初日となる7月24日の夜の飛田新地は大にぎわいだ。午後8時15分、メイン通りと青春通りは胸をときめかせた男たちであふれている。目立つのは団体客で、5~6人ほどの集団があちこちで輪を作ったり固まりを作って歩いている。〝祭りに遊びに行った友人と飛田新地に流れてきた〟といった感じだ。 中国人や韓国人もたくさんいる。大きな声を出して会話している。白人もかなりおり、男性だけでなく、女性の姿もある。金髪の白人女性3人と黒髪のアジア系女性2人がまとまって歩いていたのには面食らった。白人の美女5人が青春通りから出てくる姿もあった。見学に来ていたようだ。他にもときおり見かけ、韓国ギャルや中国人女性の2人連れなどが観光地のように歩いていた。カップルもちらほらいた。 午後9時を過ぎるとさらに人の姿が多くなり、もはや〝お祭り〟状態に。昼間の夏祭りとは一味違ったにぎわいに感心してしまう。これほど路上に人の姿がある歓楽街は、今の日本にはない。飛田新地がダントツである。 メイン通りと青春通りに入ってみる。ヤバイ。相変わらずカワイイ。美人ばかりである。春と比べ、ビキニ風の衣装の女性が多く、ビーチリゾートのようになっている。大阪のど真ん中に〝美女だらけの海水浴場〟が出現したようだ。上半身がカラフルなビキニ姿の女性たちに「(店の)前まで来て♡」と誘惑され、目移りし戸惑ってしまう。立ち止まると吸い込まれそうだ。 黄色い花柄の浴衣を着た女性やバニーガール姿の細身美女など、アイドルや女優も顔負けの美人が次々に目に入ってくるので、ドキドキしっぱなし。深夜にパリオリンピックのサッカー男子の試合があるからか、サッカー日本代表の青いユニホーム姿の女性が2人いた。 飛田新地の通りほど刺激的なストリートは国内にないだろう。メイン通りは特に魅力にあふれ、次々に人が入っていく。高架近くの出口まで来ても、Uターンして戻っていくのがスゴイ。深夜10時を過ぎてもにぎわいはなくならない。祭りの夜の飛田新地は、いつも以上に人々でにぎわう〝世界中の男たちの真夏の楽園〟となっていた。料亭で遊ぶかどうかは別として、常に人の姿がある。みんな祭りに乗じて羽を伸ばしたいのだろう。 翌25日の夜も盛況で、遊びに来た男たちの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。メイン通りには日本人はもちろん、中国人、韓国人、アメリカ人などが、次々にやってくる。スーツケースを引いた若者もいる。声の大きな中国人の高齢者もいる。にぎわっている。白い大型スクーターが爆音を鳴らしながら、新地の中を走っていく。ワインレッドのスポーツカーが大音量で音楽を鳴らしながら新地内をグルグルと回っている。活気がある。さすが〝日本一のちょんの間街〟だ。 料亭の女性たちは前日同様に露出の多い格好をしており、見ているほうが恥ずかしくなってくる。青いチャイナドレス、ピンクのチアリーダーなど、コスプレもよりどりみどり。白や薄いピンク、水色など淡い色の浴衣姿や、上半身がビキニで下半身はミニデニムパンツ姿の女性が複数いた。麦わら帽子を被った女性、黒地に赤いラインが入った競泳水着姿の女性もいた。ファッションショーのようで、眺めるだけでも十分楽しい。 メイン通りと青春通りはいつも大にぎわいだが、裏通りへ回ってみると、打って変わって静まりかえっていた。百番通りも若菜通りもほとんど客がいない。だが、料亭を覗いてみると、ときおりとんでもなくカワイイ女性がいるから驚きだ。裏通りは穴場である。白い浴衣姿の女性の美貌に、特に驚愕した。 夏に〝美女と清涼感〟を感じたくなったら、飛田新地へ行こう。料亭の女性たちの美しい姿が、乾いた心を潤してくれるだろう。 ◆地域の中に溶け込む夏祭りの松島新地 飛田新地に次ぐ規模を誇る〝ちょんの間地帯〟松島新地にも、夏祭りがある。隣接する茨住吉神社の夏祭りが毎年7月22日と23日に開催されるのだ。神輿・獅子舞・亀甲太鼓・傘踊りが松島新地を含む九条の街を巡行し、沿道にはたくさんの出店が立ち並ぶ。コロナ禍になって、感染症対策と熱中症対策の両立が困難なため中止が続いたが、’23年に4年ぶりに開催された。西区の夏祭りの中でも一番といっていいほどにぎやかな一大イベントに、7月23日に足を運んでみた。 昼間は九条の街を神輿や太鼓などが巡行。松島新地の中では、地域の子供たちによる〝子供神輿〟が巡った。「わっしょい! わっしょい!!」。赤白帽子を被った子供たちが、新地の中を神輿を引っ張って進む。その後ろには、保護者のお母さんや地域のおばさんが、お菓子のいっぱい入った袋を持って歩いている。子供たちへのご褒美である。ときおり休憩が入り、料亭の人たちが冷えたお茶などでもてなす。正午ごろの松島新地は多くの料亭が開いていないが、メイン通りの店はちらほら開いており、カワイイ女性たちが笑顔を見せていた。 街がひときわ盛り上がったのは夕方の午後5時から。茨住吉神社を起点に獅子舞の巡行が始まる。大人から子供まで、お年寄りから赤ん坊まで街に出て、獅子舞、傘踊り、手踊りなどの行列を見物している。行列に参加している孫娘の姿を眺めるおばあちゃん、法被を着て踊る男の子の写真を撮るお父さんやお母さんなど、地域全体が総出で祭りを楽しんでいる。沿道の出店がカラフルに街を彩り、なんとも華やかだ。 獅子舞の巡行は、商店街から松島新地の中まで、無病息災、家内安全を願って回る。厄祓いである。料亭の女性たちは、堂々と顔を出して様子を見ている女性もいれば、ウチワで顔を半分隠して祭りを眺める女性もいる。幕を下ろして女性2人の顔を隠している店もあった。飛田新地とは異なり、祭りの最中でも新地の中での写真や動画の撮影は禁止となっており、法被姿のお兄さんがメガホンを使い大きな声で〝撮影禁止〟の案内をしたり、ボードを掲げて周囲に伝えていた。 「大阪名物夏祭り~♪ 茨住吉暴れ獅子~♪ 暴れよ暴れよみな暴れ~♪」 「ヒョウタンコロコロ駒が出た~♪ それ出たやれ出た飛んで出た~♪ 暴れよ暴れよみな暴れ~♪」 と歌い踊りながら行列は進んでいく。料亭はご祝儀を渡し、領収書を受け取る。九条地区は大盛り上がりで、神社の周りは人でいっぱいに。約2時間の巡行を終えると、太鼓が鳴り、祭りの夜の盛り上がりは最高潮に達する。法被姿の行列とお囃子、鈴の音が料亭街と調和し、よく映えた。松島新地の夏祭りは、〝異界〟が〝さらに別世界〟になった〝夢のひととき〟であった。 この日の夜、松島新地を訪れる客は、いつもより少なく感じた。料亭はいつものようにほとんどオープンしていた。バニーや巫女や着物のコスプレをしている女性もいた。店の前を歩くと「上がっていってや~」とおばちゃん。いつも通りであった。 今回、飛田新地と松島新地の夏祭りを見て、大阪では地域が歓楽街を排除していないことに感激した。地域の一大イベントである祭りから歓楽街を締め出したり、隠したりするのではなく、しっかりと認めて大事に抱きかかえている。街の人たちも、料亭街の存在意義を理解している。なんと懐が深いのだろう。 かつて大規模なちょんの間街があった横浜や沖縄の行政がしたように、色街を〝悪いもの〟として壊滅させたりしない。それどころか、祭りで商売繁盛を祈っている。無くしたり、封じ込めたりせずに、堂々と応援している。それもこれも飛田新地や松島新地が長年にわたり地域に貢献しているからだろう。大阪における料亭街の存在価値の大きさを実感した、夏祭りの日々であった。
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