2軍落ちの阪神“怪物ルーキー”佐藤輝明は這い上がってこれるのか…復調に必要な条件とは
里崎氏は、こんな意見を持つ。 「復調するための一番の近道はなんだと思います? 結果なんです。練習では復調はしません。どんな形であれ、1本のヒット、1本の本塁打が出れば、プロの野球選手というのはガラっと変わるものなんです。同じく不振だった大山が復調していますが、大山も広島戦(8月29日)の2本のヒットからです。1軍の試合で1本出ることが望ましいですが、ファームであっても結果を出し続けることが、まず先決になってきます。それと不振の原因をしっかりと分析してコーチらと共有しておくことも必要でしょう」 佐藤の35打席の内容を見ると三振パターンはすべてと言っていいほど同じだ。インハイのストレートと、アウトロー、あるいは低めの凡打ゾーンへの変化球というコンビネーションで、追い込まれて最後は同じくインハイのストレートか、変化球で仕留められる。途中、抜き球でカウントを整えられるケースもある。 「ひとつ間違えば」の恐怖感が、失投を誘い、佐藤もそれを打ち損じずにオーバーフェンスにしてしまうというのが、前半戦の快進撃の好循環だったが、不調に陥ってからは、相手バッテリーの恐怖感も消えて配球も大胆になり、失投そのものも減ってしまっている。本塁打は、8月19日の横浜DeNA戦でクローザーの三嶋から東京ドームの逆方向に放り込んだのが最後。 里崎氏は、不調の原因をこう見ている。 「ほぼ同じ攻め方をされて、これまで打てていたものが打てなくなったのはなぜなのか。バッティングの崩れです。佐藤の場合は大きくフォーム、形は変わらないのだからタイミングが合わないことに尽きます。その原因として疲れもあるのかもしれません」 そして2軍での調整法、再昇格の条件をこう提言した。 「そういうときには、打ち込みや走り込みは逆効果。リラックスしてファームで楽しく野球をやることが重要なのかもしれない。10日の期限を切ることもいらない。上に上げるのは、レベルの落ちるファームの投手を相手に結果を出して、気持ちを乗せ、本人の感覚が戻ってきた段階でいいのではないか。ただ再昇格は上の事情にもよりますよね。ロハスや糸井がバカバカ打っていたら“佐藤がいなくても大丈夫”ということになる。阪神の優勝のために佐藤の復調がポイントになると僕は考えていません」 里崎氏は、こうも付け加えた。 「そもそも考えてみてください。1年目のルーキーですよ。10年目、レギュラーみたいな見方をして議論、解説をしていることがおかしいんです。佐藤が、それだけのポテンシャルを示しチームで大きな役割を果たしてきたということかもしれないが、冷静に見て、すでに期待以上によくやっていますよ」 もうひとつ気になるのは佐藤が独走していた新人王争いの行方だ。