2040年に2000万kW導入…「ペロブスカイト太陽電池」で普及戦略、量産化研究・設備を支援
経産省が策定
経済産業省はペロブスカイト太陽電池の普及促進に向けた「次世代型太陽電池戦略」を取りまとめた。量産に向けた研究開発や設備投資を支援するほか、設置費用の補助などで導入を後押しする。2040年には家庭の使用電力の1割程度に当たる2000万キロワット規模の導入を目指す。 【動画】ペロブスカイト太陽電池自動作製システムによるセル作製 26日開催の官民協議会で示し、大筋了承を得た。11月中をめどに最終版を公表し、政府が24年度内に改定する次期エネルギー基本計画に反映させることを検討する。ペロブスカイト太陽電池は柔軟で軽く、既存の太陽電池が設置できない外壁や耐荷重の小さい屋根などに設置できるといった特徴を持つ。 戦略では薄くて折り曲げられるフィルム型に加え、建材として設置できるガラス型、シリコン太陽電池と張り合わせたタンデム型の普及を主に想定する。40年には発電コストを従来電池とほぼ同水準の1キロワット時当たり10―14円にすることも目指す。 現在、普及しているシリコン太陽電池は中国が主な生産地で、2000年代前半まで日本勢が世界シェアの過半を占めていたが価格競争に敗れシェアを失った経緯がある。ペロブスカイト太陽電池は日本発の技術で、主原料のヨウ素を国内で安定調達できる利点もある。積水化学工業や東芝などが開発を進めており、25年の事業化を目指している。 足元では中国を含む海外勢も開発に注力するなど競争激化が見込まれている。政府は中長的な戦略を示して国内産業の育成を図る方針だ。国内メーカーの幹部は「大量生産には技術的なハードルが高く、将来的に数百億円規模の投資が必要になる」と明かす。国の支援を受けながら量産体制を構築し、海外展開も見据えた競争力の確保を目指す。