ハミルトン、メルセデスF1の戦略をめぐる“陰謀論”の沈静化を図る「成功を得るには失敗も必要」
ルイス・ハミルトンは、一部の熱烈なファンが“陰謀論”を広め始めたことを受け、ソーシャルメディアを利用して事態の沈静化を図っている。この陰謀論とは、7度のF1ワールドチャンピオンが来季2025年にフェラーリへ移籍することを決めたことについて、メルセデスが彼らのお気に入りのドライバーを罰するために妨害しているというものだ。 【写真】予選3番手からソフトタイヤを履いて決勝に臨んだメルセデスとハミルトン この話は、シンガポールGPの終わりにハミルトンが、ミディアム・コンパウンドタイヤでレースをスタートするようチームに主張したことを明らかにしたことで、さらに注目を集めることとなった。彼自身はミディアムタイヤでスタートするのが最適だと信じていたが、ストラテジストたちによって意見が覆され、マリーナベイのイブニングレースをソフトタイヤでスタートしなければならなくなった。 グリッドのトップから15番目までで唯一、スタート時のタイヤをソフト・コンパウンドにしたハミルトンは、グランプリ終了後に「周りの全員がミディアムタイヤを履いているのを見た瞬間に、トップで戦うチャンスはなく、とても長い夜になるだろうと分かった」と認めた。 また、チームメイトのジョージ・ラッセルが、「ルイス(・ハミルトン)がスタートで履いていたタイヤと、周りの全員が履いていたミディアムタイヤを見比べた瞬間に、彼は絶対に喜んでいないだろうと分かった」と述べたたため、火に油が注がれることとなった。 これらは一部のイギリスのタブロイド紙に煽られたファンが、シーズン開幕以来広まっていた陰謀説に立ち戻るのに充分なものだったため、ハミルトンはそうした説に終止符を打つ時がきたと判断した。ハミルトンは自身のソーシャルメディアプラットフォームに、次のように投稿している。 「前回のシンガポールでのレースと、うまくいかなかった戦略について、多くの議論が起きていることは承知している。そういうことが起こると苛立つのは当然で、僕もその苛立ちを言葉として口に出してしまいがちだ」 彼は続けて「ソフトタイヤでスタートするのは大胆かつリスクの高い動きだと分かっていたが、スタートで有利になる可能性があり、僕は最終的にその提案に同意した。また、他のドライバーたちがすることを僕たちは計算違いをしていた」と説明した。 投稿のとおり、ハミルトンは最終的にその決定に同意していたことを認めた。また彼は、チームでのコミュニケーションのなかで、テクニカルディレクターのジェームズ・アリソンがソフトタイヤを履かせたのは間違いだったと認めたことを受け、「間違いなくチームとの状況は良好だ。あらゆる成功したパートナーシップがそうであるように、成功を得るには失敗も経験しなければならない」と明言した。 そしてハミルトンは次のように締めくくった。「僕たちは難しい会話や困難な瞬間を恐れていない。だからこそ一緒にこれほど多くのことを成し遂げてきた。僕たちは最後まで互いにサポートし合っていく。すべては“愛”なんだ。オースティンで会おう」 [オートスポーツweb 2024年10月02日]