世界に20例しかない難病を乗り越えた21歳のイアン・ギリガンがローアマ獲得【コラム】
米男子ツアーのフェデックスカップフォール第4戦、米ネバダ州のTPCサマリンで行われたシュライナーズ・チルドレンズ・オープンはJ.T.ポストンが2年ぶりツアー通算3勝目を挙げ幕を閉じた。 そんな中、注目を集めたのがフロリダ大学に通う21歳のアマチュア、イアン・ギリガンだ。最終日に6バーディ、ノーボギーの快調なプレーでリーダーボードを駆け上がり、通算14アンダー16位タイでローアマのタイトルを獲得した。 15歳のときに世界で20しか症例がない珍しいガンを患った。ジュニアの試合に出場するためにストレッチをしていた時に異変が起きた。 「体が急に動かなくなるような感じがした」。1か月後には左腕の内側の皮膚が剥がれ落ちた。「最初は嚢胞かと思ったけれど検査したらガンだと分かった」。 あっという間に体調は悪化した。食欲は激減し当然クラブは握れず、痛みと闘う日々が訪れた。幸い治療法が見つかり高度に個別化された抗がん剤による治療を受けることに。ただし、非常に珍しいガンのため、治療のチャンスは1度しかないという崖っぷちの状況だった。 しかし奇跡が起きる。治療を開始してすぐに回復の兆しが見られたのだ。そして「1週間後には痛みが全くなくなった」という。 治療は成功。闘病期間はおよそ2か月とさほど長くないが、寛解した今も彼は当時のトラウマからPTSDの症状を抱えている。 しかし「自分が経験したこと、そして僕よりももっと辛い経験をした人を思えば、どの瞬間も当たり前だなんて思うことはできない。病気の前と後では大きくものの見方が変わった」と語り、故郷のネバダ州で行われた試合でPGAツアー2回目の出場を果たした。 ツアーデビューを飾った今年のバラクーダ選手権でも予選を突破し40位タイ。今回はさらにステップアップし16位タイの好成績を挙げ、プロになるという夢に向かって邁進している。彼の活躍はガンサバイバーの希望になるはずだ。