「入れ」馬場咲希、18番8メートルのバーディーパット沈め涙、涙…2時間後に米ツアー“合格”「ラーメンを食べたいです」
◇10日 米女子ゴルフ 最終出場予選会最終日(米アラバマ州、マグノリアグローブ) 【モービル(米アラバマ州)テッド・ムース】山下美夢有(23)=加賀電子=が64と大きく伸ばして通算27アンダーで終え、1位で通過を決めた。今季下部ツアーを転戦した馬場咲希(19)=サントリー=も24位で、2年ごしの合格を果たした。 今年1年、たった1人で米下部ツアーを回り続けた努力が、最後の一転がりを生んだ。18番、バーディーパットは、8メートルのスライスライン。「打った時からずっと『入れ! 入れ!』と」。カップインしたシーンまでは見届けた。だが、そこから先は、涙、涙。まだプレー中の選手が多く、この時点で合否の結果は不明。出てくる涙がうれしさからなのか、悔しさからなのかも、よく分からない。とりあえず、泣きながら宿舎のホテルに帰り、2時間ほどたって合格を知った。 第4ラウンドを終えて、ボーダーラインぎりぎりの25位だった。最終ラウンドが始まった前日は、8番までプレーして2打伸ばしていた。だが、無情にも荒天のため中断、順延。一夜明けて再開されると、調子は前日と一変していた。1ホール目の9番、続く10番で3メートルの好機を逃した。11番は2メートルから3パット。15番も2メートルのパーパットを外した。焦りは容赦なく、19歳に襲いかかっていた。 そこからは、ショットの度に両手で顔を覆ったり、うつむいたり。「もうだめだ」と、175センチの長身が、何度もコースの中で座り込み、小さくなった。それでも、過酷な下部ツアーに戻りたくない思いで、18番に。最後は「気持ちでねじ込んだ」。 2022年に日本人2人目の全米女子アマを制し、23年にプロテストに合格。日本に安住すれば、順風満帆なプロ生活が送れたかもしれない。だが、あえて厳しい米国を闘いの地に選んだ。昨年の最終予選会は、62位で涙。年が明けると、聞いたこともないコースで行われる下部の試合に出向いた。ポイントランクは18位で、10位までのレギュラーツアー昇格から外れたが、予選会の再挑戦権を手にした。 「下部を回っていても、こんなにつらくて苦しいことはなかった。何回も心が折れかけた。(合格が決まった今は)つらい1年がようやく終わったんだな、と」。すぐに日本に戻って、来季の準備をする。「練習とトレーニングと。もっと成長した姿を見せられるよう、心の特訓も。でも、帰ったら…ラーメンを食べたいです」。19歳は、笑って日本に戻る。
中日スポーツ