20代から60代まで!年代別おすすめ筋トレをプロが伝授
3)30代後半から40代の人には?
おすすめ:ヘビーリフティング&パワートレーニング この年齢層からは、更年期の症状が出始める人もいる。閉経前の数年間は生殖ホルモンが変動し、不安な気持ちになったり、頭の中にモヤがかかったような状態になるブレインフォグを経験するなど、さまざまな症状が現れる場合も。 そんなときこそ、ハイパートロフィーからヘビーリフティングとパワートレーニングに移行し、適切なトレーニングを行うことが、効果的なアプローチになるかもしれない。 「(年齢を重ねることで)筋肉の修復に大きな役割を果たすエストロゲンが減少すると、筋肉の強度が低下してしまいます」とシムズ氏。 「回数は少なめにし、6~8回のトレーニングを3~5セット行うことを目安にしましょう。回数を減らすことで、重量を上げることができるので、中枢神経系(CNS)により多くの刺激を与えられます」と説明し、「私たちは通常、エストロゲンに頼って筋繊維を増やし、筋力をつけています。中枢神経系に、体のたるみを補完することを教えこむのです」と続けた。 脳と脊髄で構成される中枢神経系は、インパルス(電気信号)を介して筋肉を活性化させる。中枢神経系を鍛えることはパワートレーニングの基本であり、シムズ氏がヘビーリフティングを推奨するのも同じ理由からだ。 ヘビーリフティングは身体組成の管理にも役立つ。学術誌『Journal Of Exercise Rehabilitation』に掲載された研究によると、40歳以上の閉経前の女性が、筋力に抵抗をかける動作を繰り返し行う「レジスタンス運動」を12週間行ったところ、体脂肪が平均3%減少し、筋肉量は2%増加したという。 研究では、参加者の肪細胞から分泌される善玉ホルモン「アディポネクチン」と、放出量が増えることで脂肪を増やす働きをする「レプチン」という2つのホルモンの推移を調査。その結果、定期的な筋トレは、エネルギーの代謝を高めるアディポネクチンを増加させ、食欲の抑制を促すレプチンを減らす効果があることがわかった。 また、前述のエストロゲンは、骨密度にも関わっている。「エストロゲンは、骨の生成に必要な骨芽細胞の活性を促し、骨のミネラルを形成します」とシムズ氏は解説。いくつかの研究によると、ウエイトリフティングは骨を形成する細胞を強制的に働かせるため、骨量の減少を遅らせることができることが示されている。 いっぽうで、パワートレーニングはより顕著に刺激を与えられるため、ヘビーリフティングのみよりも更年期の女性の骨密度を改善すると考えられているそう。 1週間のワークアウト例: ・ウエイトリフティング&パワートレーニングを45~60分/週4回まで ・シムズ博士は、45~60分のトレーニングを週に4回以内、筋肉と神経系の回復期間を設けながらトレーニングするのを推奨。なお、必ず各ワークアウトの動きに最適なウォームアップとクールダウンを行うことを忘れずに。