65歳の自分にとっては「聖徳太子」がお札の顔だけど、娘に両替を頼んだら「初めて見た!」とのこと。今の若い人には通じない? お札が市場に出回らなくなる仕組みも解説
一定以上の世代では「お札の顔といえば聖徳太子」というイメージを持つ人もいるでしょう。しかし平成以降に生まれた世代にとっては、聖徳太子の紙幣を見たことがない、もしくはまったくなじみがないというケースもあるかもしれません。 1980年代の後半に生まれた筆者も、かつて金融機関で働いていたため、業務上、聖徳太子の紙幣を数回見たことがあるものの、プライベートでは一度も聖徳太子の紙幣を手にしたことがないのです。聖徳太子の紙幣はいつまで発行され、どのようにして市場に出回らなくなっていったのでしょうか。 本記事では聖徳太子の紙幣と、お札が市場でどのように新しいものに移りかわっていくのかについて解説します。 ▼実家の物置で「鳳凰」の描かれた100円玉を発見! 昔のお金は今も使える? 高く売れる場合もあるの?
聖徳太子の肖像画のお札はいつまで発行されていた?
実際に聖徳太子の紙幣を見たことがないという世代でも、かつて聖徳太子の紙幣があったという情報は知っている人が多いでしょう。聖徳太子の紙幣というと「1万円札」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実は1万円札以外の紙幣の顔としても聖徳太子の肖像画が採用されていました(図表1 )。 図表1
日本銀行 その他有効な銀行券・貨幣をもとに筆者作成 図表1より、聖徳太子の紙幣は多くの金種の紙幣で採用されていたことが分かります。そのすべてが昭和期間に発行されたものであり、1986年を最後に聖徳太子の肖像画の紙幣は発行停止となっています。
お札はどれくらいで市場に出回らなくなるの?
紙幣の発行が停止されたからといって、ただちに市場のすべての紙幣が新紙幣に入れ替わるわけではありません。新しい紙幣が発行されるときは、急に市場の紙幣が増えないように旧紙幣を回収し新紙幣を徐々に流通させていきます。 日本銀行によると、1万円札の平均寿命は4~5年程度、5000円札や1000円札の寿命は1~2年程度とされているので、新紙幣が発行されて5年程度で、ほとんどの紙幣が入れ替わっているといえるでしょう。 そのため、聖徳太子の紙幣は発行停止の5年後の1991年にはほぼ姿を消していたと考えられます。平成元年(1989年)に生まれた人たちの物心がつく頃には、市場では聖徳太子の紙幣はほぼ見かけなくなっていたといえるでしょう。 また回収された紙幣は、復元できないよう細かく裁断されます。その後は住宅用の建材や固形燃料、トイレットペーパーなど古紙として日用品になったり、裁断された紙幣デザインを活かしたボールペンなどの事務用品やストラップなどにリサイクルされたりしています。