【F1分析】モンツァの新路面でデグラデーションが激化! ハミルトンのロングランに”正解”へのヒントが見えた
F1イタリアGPの舞台であるモンツァ・サーキットは、今年のグランプリ開催に向けて大改修が施され、路面が全面的に再舗装された。これによりタイヤにどんな影響を及ぼすのか、初日を終えた段階でもまだ未知数の部分が多いと、ピレリのモータースポーツ・ディレクターであるマリオ・イゾラは語る。そしてルイス・ハミルトン(メルセデス)のFP2でのロングランに、タイヤの使い方のヒントが見て取れた。 【リザルト】F1第16戦イタリアGP フリー走行2回目結果 F1イタリアGPの初日は、メルセデスのルイス・ハミルトンがトップタイムを記録した。このハミルトンのタイムは1分20秒738。昨年のFP2の最速タイム(カルロス・サインツJr./フェラーリが記録した1分21秒355)よりも0.6秒速いタイムであり、昨年のポールポジションタイムにも0.5秒差まで迫っている。 もちろん、ラップタイムが速くなったのには、マシンの性能が上がったことも関係しているだろう。しかし、それ以上に路面が再舗装された影響の方が大きいのかもしれない。ただその結果、タイヤにかかる負荷も増しているようだ。 そのため、FP2でのロングランを見る限り、ソフトタイヤには顕著なデグラデーション(性能劣化)の傾向が見て取れ、1ストップが主流と考えられる決勝レースでのタイヤとしては使いにくいはずだ。ただミディアムタイヤでも、デグラデーションの傾向があるマシンも多数あり、そのタイヤの使い方にはコツが必要であるようにも見える。 「金曜日には、興味深いことがたくさんあった」 イゾラはそう語った。 「今週末を迎えるにあたっての最も大きな未知数な部分は、新しい舗装の状態だった。今日見た限りでは、概ねシミュレーションの結果通りであり、非常に高いレベルの粘着性グリップが得られたと言える」 「このことと、このコースでは空力負荷が低いことが相まって、両方のコンパウンド(ソフトとミディアム)で顕著であった、グレイニング(ささくれ摩耗)が強調された可能性がある」 モンツァでは、平均速度が高いことからピットストップでのロスタイムが大きい。そのため、決勝レースは1ストップが主流になることが予想される。しかしグレイニングが予想よりも酷い場合に備えて、各車ともハードタイヤを温存しているのではないかと、イゾラは予想する。 「このコースでは、ピットレーンの長さとタイヤ交換にかかる時間を考えると、2ストップ戦略はかなりのリスクを伴う。そのため、最も可能性が高いシナリオは、ミディアムとハードでペースをマネジメントして、ピットストップを1回だけにすることだ」 「グレイニングによるデグラデーションがとても大きかった場合に備えて、2番目のハードタイヤをプランBとして残してある」 「つまりグレイニングが大きな問題になる。F1マシンと他のカテゴリーのマシンが数多くの周回を走り、コースにラバーが載っていく。それによってコースがどう変化していくかを見なければいけない」 「考慮すべきもうひとつの要素は気温だ。初日は非常に暑く、理論的には日曜日の決勝レース中の路面温度は54度にも達すると考えられている。こうなると、タイヤのデグラデーションにさらなる影響を与える可能性がある」 なお残りタイヤを見ると、ほとんどのマシンがハード2セット、ミディアム1セットを現時点で新品のまま残している。これと異なるのは5台のみ。レッドブルとメルセデスは、いずれもハードとミディアムを2セットずつを残している。またRBの角田裕毅は、FP1でハードタイヤを1セット使った分、他の多くのマシンとは逆にハード1セットとミディアム2セットを残すという選択。これが功を奏するのかどうかに注目が集まる。