伊ダニエリ、補修工場の本格運用開始。日本で顧客向け保守サービス強化・アジア市場も視野に
イタリアの製鉄プラント世界大手ダニエリは、国内初の補修工場を兵庫県淡路市で開設し、本格運用を開始した。日本で販売した機械・設備の組み立てに加え、点検・保守を強化するのが狙いだ。総投資額は数億円。今後は新拠点を足掛かりに、東アジアの顧客向けに事業を広げることも目指す。 新拠点「マニュファクチャリング・アンド・サービスセンター」は、日本法人のダニエリ・エンジニアリング・ジャパン(DEJ、本社・横浜市、社長・泉直樹氏)が運営。電機関連の遊休工場を取得し、2棟ある工場内に検査機や保守用の機材など各種設備を設置した。敷地面積は約3300平方メートル、工場棟はいずれも平屋建てで床面積750平方メートル。 ダニエリがアジア圏に保守拠点を設けるのは、市場規模が大きい中国以外では初めてだ。国内の鉄鋼メーカーは脱炭素化やコスト競争力強化を狙い積極的に設備投資しており、成長余地が大きいと判断した。DEJの泉社長は「今後は韓国や台湾、フィリピンなどアジア広域の顧客も視野に入れつつ、保守拠点を育てたい」と、新拠点を軸にしたさらなる戦略を示す。 ダニエリは近年、日本で上工程から下工程まで製鉄プラントの販売を強化している。特に強みを持つのが電炉設備だ。電炉本体に加え、電炉の電圧変動(フリッカ)を防止できる電源システム「Q―ONE(ワン)」は日本でも受注が相次いでいる。 Q―ONEは既に東京製鉄が導入。新関西製鉄やJFE条鋼も採用を決めている。新拠点の開設でこうした国内顧客への機動的な設備納入やアフターサービスをより充実化し、さらなる受注獲得にもつなげたい考えだ。