新たな地域医療構想 介護、障害福祉も包含
2040年を見据えた新たな地域医療構想について、厚生労働省は6日、改革の方針を固めた。都道府県がつくる構想に在宅医療や介護の担い手を含める。高齢患者の急増と医療従事者の急減をにらみ、入院医療に頼りすぎない体制づくりを促す。精神医療も同様に、過剰な病床を機能転換し、患者が在宅医療や障害福祉などのサービスを利用しながら暮らせるよう資源配分する。 ■厚労省検討会が報告 25年の通常国会で関連法を改正し、25年度中に都道府県向けの指針をつくる。都道府県は26年度、将来必要となる病床数などを推計し、27年度から新構想に基づく取り組みを始める。同日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長=遠藤久夫学習院大学長)にこれらを盛り込んだ報告書案を示し、大筋で了承された。 従来の構想は病床の再編成を主眼としたが、新しい構想では今後需要が高まる在宅医療を含めた医療の提供体制を築く。「治す医療」を担う医療機関と「治して支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確にする。 「支える」は手術のような密度の濃い医療というよりも、患者の生活を維持する営みに医療が入る慢性期医療を想定する。在宅医療や介護施設、高齢者向けの住まいもその「支え手」とみて、地域ごとに過不足がないかチェックしていく。 ■「精神」の調整会議は一般医療とは別建て 地域ごとに医療機関や行政など関係者が話し合う「調整会議」にも介護施設が参画することを想定する。都道府県や市町村の責任と権限も強化する。 従来の構想に入っていない精神医療も必要な病床数を推計し、調整会議を設ける。会議には障害福祉事業所や精神医療を受ける当事者が入る。厚労省は一般の医療とは別建ての会議になるとし、施行は一般医療よりも後になると見込む。