「修繕積立金を値上げしないと、マンションは廃墟化する」…!不安を煽られ不必要な工事で業者の“養分”にされる、哀れな住民【マンション管理クライシス】
マンションの維持保全のため、毎月の修繕積立金を値上げする管理組合が増えてきた。値上げしないとむしろ不安だと考える住民も今では少なくないという。しかし、本当に値上げは必要なのか。値上げしない場合は本当に建物の健全性が損なわれてしまうのか──。(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて情報を参考にしてください) 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…!タワマンの低層階住人の「残酷な現実」 「報道などの影響で、『修繕費が足りず、マンションが廃墟化の危機になる』と不安を感じる人は少なくない。ただ、それなりの修繕費を徴収し、ある程度の修繕ができていれば、実際にはほとんど問題なく、廃墟化などありえません」 こう言うのは一級建築士でマンションコンサルタントの須藤桂一氏だ。
実際に取り壊された「分譲マンション」はまだ1棟だけ
例えば、報道で確認されている限りでは、全国において取り壊しに至るまで廃墟化した“分譲マンション”の事例は、滋賀県野洲市の「美和コーポB棟(72年築→19年取り壊し)」のたった1棟だけだ。このマンションは管理組合が機能不全に陥っていたため、修繕積立金の徴収もなく、一切修繕が行われていなかったという。 所在不明の法人所有の住戸もあり、取り壊しの10年前から全住民が退去していた、いわば例外中の例外だ。にもかかわらず、この極端な事例を一般化し、築古のマンションはこの事例の予備軍だと指摘するような報道は少なくない。 住宅ジャーナリストが言う。 「全国には美和コーポが作られた72年築以前のマンションは自主管理物件を含め、おそらく3000棟以上はあるとみられますが、探しても同様の事例はほぼないので、取り壊した後も、メディアはずっと美和コーポの事例を持ち出すのです。確かに条件が悪いリゾートマンションや管理組合が十分に機能していないマンションなど、“予備軍”は存在していると考えられますが、割合的には極めて少ない。 人が住んでいて管理組合がある程度機能し、最低限の維持費が徴収され清掃や最低限の修繕が行われているマンションであれば、過度に心配する必要はありません。積立金が安価に設定されている築古マンションと、修繕積立金の徴収自体がなく、修繕が全く行われていないマンションを、同列で扱うのは完全なミスリードです」
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