「25年卒、5月で7割超」 数字に踊らされない内定率の読み解き方
先日、テレビやネットのニュースなどで「4月に入社した新卒社員の中で、数日で退職する人が続出している」とセンセーショナルに報道されていました。退職者がいるのは事実ですが、私は一部の話だと認識しています。 実際、早期離職する社員がいることは以前から聞いていました。ただ、近年はSNSで書いたり、退職代行サービスを利用する人が増えたりしたことで、今まで見えなかった話が表に出てきているのではないでしょうか。 例えば、退職代行サービスの依頼数が「1日に何十件だったのが3ケタになった」といっても、例えば大学卒業後、就職した人は約45 万人います。そのうちの数百人が全体の何%に当たるのかと考えたらどうでしょうか? 確かにゼロではないものの、それが驚くほど多い人数とは言えませんよね。 背景などをよく知らずに、報道された数字だけに注目してしまうのは危ないと思います。 就職活動シーズンに、よくメディアで就職内定率が報道されます。「この時期でこんなに高いのか!」といった感想を持たれる人も多いと思いますが、これがどのように算出されているかを知っている人は少ないのではないでしょうか。 様々なところが内定率を調査、発表していて、代表的なものは2つあります。1つ目が採用支援企業による調査です。 例えば、リクルートの調査・研究機関である就職みらい研究所では毎月、就職内定率を発表しています。2025年卒の24年5月1日時点の就職内定率は72.4%(前年同月比+7.3ポイント)です。調査対象は、リクルート運営の就職情報サイト「リクナビ」でモニター登録をした就活生3941人。うち有効回答数は大学生975人、大学院生377人となっています。 ●就活積極層が回答するため、内定率が高めに 採用支援企業の場合、各社が運営する就活情報サイトが抱えるモニターが調査対象です。「モニターになります」と自ら手を挙げたということは、積極的に就職活動に取り組んでいる層が多くなります。 かつアンケートをこのタイミングで回答するのは、就活が順調にいっている学生が多いのではないでしょうか。モニター登録していても、もし立て続けに「お祈りメール」(就活用語の1つで、企業からの不採用通知を指す)が届いていたら、内定のあるなしを含むアンケートを回答する気にならないでしょう。そうしたことを踏まえると、数値としては高めに出るだろうと想像できます。