「25年卒、5月で7割超」 数字に踊らされない内定率の読み解き方
23年卒では大学生の4人に3人が就職
文部科学省の「学校基本調査」でも就職率が公開されています。こちらの調査によると、23年卒(23年3月時点)の大卒者の就職率は75.9%、進学率は12.5%です。そして、進学でも就職でもないことが明らかな人(進学準備中、就職準備中、家事手伝いなど)が8.2%となっています。 この調査は全国各地の大学が取りまとめたものを文部科学省が集計しているので、就職、進学などの実態がほぼ正確に反映されていると言えるでしょう。一般に、大卒のほぼ全員が就職している、大卒ならみんな就職できるといったイメージを持たれがちですが、23年卒の場合、実際に就職している人は大学生の4人に3人なのです。 学生からすると就活は初めての経験ですし、企業の採用担当者にしても経験が浅いと、こうした数字に惑わされがちです。 このほか就職活動が進んでいくと、「友達の友達があの会社の内定をもらったらしい」「早期選考に呼ばれているらしい」という伝聞情報が仲間うちをかけめぐります。すると就活がうまくいっていない人ほど、不確かな情報を信じて焦ってしまう。数字に限らず、見聞きするものの真偽が判断できなくなってしまうのです。 例えば、大学のキャリアセンターの担当者などでも、新卒採用に関しての知識や最新情報を持っている人なら学生に適切な助言ができると思います。しかしそうでない人の場合、上手なアドバイスができず、かえって学生を追い込んでしまうケースもあります。 親にしてもそうです。親は自分が就活したときの経験で話をしがち。親世代と、今、就職活動をしている子供世代では環境はまるで異なります。例えば、バブル期など好景気の時代に就職活動をしていた親の場合、「そんなに何社も受けなくても、2社ぐらい行けば決まるでしょ?」と言ったり、親世代の知らない会社から内定をもらってきても「そんな聞いたことがない会社はやめなさい」と親ブロックをしたりするわけです。 一人歩きする数字や伝聞情報に惑わされることなく、就職活動をしてほしい。それには周囲の大人たちも正しい認識を持つことが重要なのです。 (構成=荻島央江)
谷出 正直