[特集/海外組100人超の時代がやって来た! 欧州サムライ勢力分布 01]好調クラブで個性が光る! 助っ人サムライの無双タイム
オランダには上田綺世(フェイエノールト)と小川航基(NEC)の日本代表FWがいる。同世代の2人はアンダー世代の日本代表でもポジションを争ってきた。現在も日本代表のCFとして競っている。 上田は身体能力が高く、強靭なポストプレイと強烈なシュートを持ち、ラストパスを受けるポジショニングの上手さも光る。小川もほぼ同じタイプで、パワーでは上田に及ばないが得点感覚と勝負強さが素晴らしく甲乙つけがたい。ただ、名門フェイエノールトに所属する上田はレギュラーポジションを確保できていない。 小川はこれまでの4試合で2試合に先発、1得点と、今のところ上田を一歩リードしている状況だ。小川のいるNECに加入した佐野航大は開幕から4試合すべで先発出場、1ゴールをゲット。ボックス勝負型の上田、小川とは異なり、幅広く動くユーティリティー性が特長。フィジカル能力も高く若手注目の1人である。
主力中の主力のフランス勢。ポルトガル勢はMFの中心に
フランスリーグの4人はいずれも主力中の主力だ。南野拓実(ASモナコ)は[4-4-2]のときはサイドハーフのポジションだが、主戦場は常に中央。これはチームのプレイスタイルなのだが、南野はそれにぴったり合っている。ラストパスの上手さと得点力を併せ持ち、今やリーグでも屈指のアタッカーである。 スタッド・ランスの両翼を占める伊東純也、中村敬斗は攻撃の切り込み役、フィニッシャーとして欠かせない。伊東の強烈な縦への突破力と精度の高いクロスボールは日本代表でもお馴染み。左の中村はカットインからの右足シュートが得意。右利きだが縦に突破しての左足のクロスもある。 オセールのオナイウ阿道はエースストライカーとしての地位を確立。トゥールーズから2部のオセールへ移籍し、チームとともに昇格を果たした。スピード、パワー、テクニックのバランスの良い点取り屋だ。
ポルトガルリーグ1部でプレイしている守田英正(スポルティング)、藤本寛也(ジル・ヴィセンテ)、福井太智(アロウカ)の3人もそれぞれのチームで主力を張っている。 昨季、スポルティングの優勝に貢献した守田は完全にチームの中心。「欧州クラブで欠かせない戦力となっている日本人選手」という表現が最もふさわしい選手である。ボランチとして攻守に優れ、タイムリーな攻撃参加で得点もあげる。戦術理解度の高さは、スポルティングと同じシステム([3-4-2-1])を使い始めた日本代表にとっても活用されるだろう。 ジル・ヴィセンテで4シーズン目の藤本はすっかり攻撃の中心に定着。今季も4試合すべてに先発出場し、第2節はハットトリックを決めた。得点力のある左利きの攻撃的MFだ。 18歳でサガン鳥栖からバイエルンに完全移籍した逸材、福井はポルティモネンセを経てアロウカへ加入。開幕から4試合すべてに先発出場している。 ポルトガルはブラジル人選手が多く、欧州でもテクニカルなリーグとして知られている。イングランド、ドイツ、フランスほどフィジカル要素は強くないので、小柄なテクニシャンが多い日本人選手には合っている半面、日本人選手と似た特長の選手もたくさんいるので埋もれてしまう可能性もある。現在プレイしている3人はすべてMFで、主力として活躍しているのは興味深い。技術の高さだけでなく、戦術理解の良さや献身性が評価されているのだろう。優れたMFが多いリーグの中で、日本人選手が主力として活躍しているのは日本人MFのレベルの高さを表しているといえる。