「結婚できるようになったら、式に呼ぶからね」ゲイの結婚相談所が感じる「社会が生んだ」異性愛と同性愛の違い【いいふうふの日】
◆「結婚できるようになったら、式に呼ぶからね」と言わせる社会
ーー田岡さんのお話を伺い、同性愛者だから異性愛者といろんなものが違うのではなく、「社会が違いを生んでいること」を改めて痛感します。 私なりにゲイの方と向き合う中で、人との違いで悩んだり、好きな人と一緒にいて幸せを感じたりなど、好きになるのが同性であること以外は、何も変わらないと感じています。 それはお見合いだけでなく、成婚後にたまに報告にきてくださるカップルさんの惚気話も幸せいっぱいで、私いっつもニヤニヤしちゃうんです(笑)羨ましいなあって。ただ、たくさんの最高の笑顔を見てきたからこそ、どうしても、何度も頭をかすめる言葉があるんです。 それは、「結婚できるようになったら、田岡さんを結婚式に呼ぶからね」という声です。 頭をよぎるたびに、どうしてこんなにも真面目に生きて、幸せをつかんだ方々が結婚できないんだろうって、苦しくなるんです。 だからこそ、「早くこの社会を変えないといけない」という原動力が芽生えます。結婚の平等の法制化に賛成する企業を可視化する「Business for Marriage Equality」に賛同したり、結婚の平等訴訟を傍聴してPodcastで発信したりなど、やれることをやっていこうと。 ーー否定される経験をたくさんしたからこそ、他のLGBTQ当事者を嫌悪して攻撃してしまったり、自分のセクシュアリティを長く認められなかったと吐露したりする人もいます。 ブリッジラウンジの会員様は、セクシュアリティをオープンにしていない方が多いです。それ故に、一人で生きていく道、または親や会社の体裁のために女性と結婚する道を、選択肢に含めた上で入会相談に来てくださる方がいらっしゃいます。 この表現が正しいかはわからないのですが、ここで婚活を始めるのであれば、ご本人の中で「同性パートナーと幸せになろう」と腹を括らないといけない瞬間があるかもしれないと感じています。 実際「親を安心させたい」との思いから、男女のいわゆる「友情結婚」の相談所に移る方もいらっしゃいました。ただ、そういった形でうちをやめた方は、今のところ100%に近い確率で、戻ってこられるんですよね。 一度やめようと決意せざるを得ない方がいることが苦しくもあって。自分の性的指向を、無理に見ないようにすることって、異性愛者だとまずないことだと思うんです。 現状では結婚を始め、セクシュアリティにより、難しいことはあるかもしれません。ですが世間の認識が変わったら、こうした葛藤をする人は減ると思うんです。だから企業としても「変えていこう」と発信し続けます。 ーーLGBTQの人権について、結婚の平等に賛成する人の割合が報道各社の世論調査で過半数になるなど、「社会は少しずつ変わってきた」と言われています。でもまだまだ、日常に根付いた、異性愛を前提とした「当たり前」に、影響を受けている当事者が多いのだと痛感します。 私はこの仕事に誇りを持っていて、かつ、こうしたサービスがあると言うことを世の中に知ってほしいので、自分がゲイ専用の結婚相談所で働いていることを、歯医者や美容院など、いろんなところで言うんですね。 そうすると、日本では同性同士の結婚が現時点ではできないにも関わらず「(ブリッジラウンジがある)渋谷では同性婚できるもんね」とか、「最近、LGBTの人多いもんね」など、間違った認識で返されることもあって。 「昔から私たちの身近にもいて、最近やっと、声を上げられるようになったのだと感じています」と伝えると、今度は「最近流行っているもんね」と。 正直、心が折れそうになると同時に、会員様に聞かせたくないと感じる言葉を聞くことも多くあります。ですがきっと、「目の前の人がLGBTQ当事者ではない」という前提のもと発されるこうした言葉は、多くの会員様がすでに耳にしてきたのだと思います。 変わってほしい。だから今後も誤った情報には違うよと、伝えていこうって思っています。