「業務の進め方、対応が話題になっております」司法書士はじめ各業界で話題…『地面師たち』人気の理由は?
まるで「日曜劇場」!? 企業ものとしても楽しめる仕掛け
公式インタビューで大根監督は「いつかドラマでも映画でも、ジャンルを混ぜ合わせたものを作りたいと思っていた」と話し、「詐欺師グループにだまされる大手デベロッパー側の描写が、実はポイントなんじゃないかと思った」と明かしているが、確かに、同作品では地面師たち側だけではなく、会長派と社長派に分かれた派閥争いや、やたら時間がかかる稟議書承認の描写など、TBSの「日曜劇場」で描かれるような大企業で働くサラリーマンの世界も丁寧に描かれる。 冒頭の金融機関出身の男性も「あそこまでの大型案件ってもっと時間をかけてしっかり交渉しなければいけないのに、(地面師たちに急かされて)急がなければいけない理由に派閥争いという要素も加わって非常にリアルだなあと。(山本さん演じる)青柳のパワハラの感じも昭和のサラリーマンというかちょっと前のサラリーマンを彷彿とさせますよね」と話す。
「念入りな本人確認」「鉛筆書きで一言添えた稟議書」…あるあるも満載
大企業のサラリーマンものという要素のほかに、各業界やビジネスの場で実際に行われている手続きややり取りも「あるある」が詰め込まれている。例えば、稟議書承認のシーン一つとっても「後から消せるように鉛筆書きで稟議書に一言添える」だったり、土地の売買交渉における本人確認で「免許証や本人確認書類を司法書士が徹底的に調べる」であったり、何気ない「業務」が、その世界や業界を知る者にとっては「あるある」の一方で、知らない者にとっても「こういう手続きを踏むのね」「こういうことをやっているのか」と新鮮に映るのだ。 実際に司法書士の間でも同作品は話題になっているという。話を聞かせてくれた司法書士の男性は「2017年の事件もあって、司法書士業界では、なりすまし、本人確認に関しての注意喚起が強くされており、このドラマにも自分たちの仕事と大きく関係する内容が登場するため、ドラマ内の司法書士の業務の進め方、対応が話題になっております」と話す。 ドラマの中では、土地の売り手側である地主の本人確認で干支を聞かれるシーンが何度も登場するが、「印鑑証明書と捺印書類の印影の照合や、住所、氏名、生年月日、干支等の口頭での確認は、決済会場での書類の確認時に実際に行います。免許証をライトで当てたり、データを読み込んだりする場面もありますが、一部の司法書士で行っている方がいるかもしれませんが、ほとんどの司法書士は本人確認書類を目視して終わります」とリアルな声を寄せた。