FRJ王者の小川颯太「去年一緒に戦ったドライバーたちの思いも背負って」/第71回マカオGPプレビュー
11月14~17日にマカオのギア・サーキットで開催される第71回マカオグランプリ。同大会のメインレースとして開催されるFIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップ(FRワールドカップ)に、2023年のフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ(FRJ)チャンピオンの小川颯太(TGM Grand Prix)が参戦する。 【写真】小川颯太(TGM Grand Prix)とFRマシン 27名が参戦するFRワールドカップにおいて数少ないシングルシーターシリーズチャンピオン経験者であり、最年長ドライバーでもある小川は、「シミュレーターにたくさん乗り、今までのマカオGPの動画を一通り見てコースや雰囲気も覚えたつもりだったのですけど、実際に自分の足で確かめると想像以上に狭いと感じました」と、ギア・サーキットを評した。 「逆に、オンボード映像などで結構バンピーなコースだという印象でしたが、意外と路面は綺麗です。ただ、よく見るとさらさらしてる感じがあります。細かい砂の上のような路面でした。感覚として日本の路面の方が5~6倍はしっかりとタイヤがグリップする、というレベルです」と、小川は細かく分析する。 今大会では大会運営側がタトゥースシャシーとアルファロメオ製エンジンのパッケージを全車レンタルするかたちが取られている。そのため、シェイクダウンというかたちで1回、TGM Grand Prixは富士スピードウェイでテストを行った。 小川はそこで初めてピレリタイヤを経験したが、富士とマカオの路面は「ぜんぜん違うと思います」と語る。それだけに、14日のフリー走行1回目は週末の行く末を占う意味でも重要なセッションとなりそうだ。 小川もそのチャレンジを楽しみにしているようだが、ひとつ懸念事項がある。それは台風接近に伴う降雨だ。事実、走行前日の13日には時折かなりの雨がギア・サーキットに降り注いだ。 「ウエットコンディションとなる可能性があります。雨でも全力で行くつもりですが、土曜日(予選レース)、日曜日(決勝)がドライとなりそうなので、木曜日(フリー走行1回目&予選1回目)、金曜日(フリー走行2回目&予選2回目)のうち、どのセッションでも1回はドライで走れたらいいなという気持ちです」 今回のFRワールドカップの参戦ドライバーの平均年齢は18歳。小川は27名中最年長の25歳だ。そんな小川は自身の強みをこう語る。 「速さという部分では、みんなそんなに変わらないと思います。そんななかで僕の強みはクルマを作り上げる、セットアップ構築という部分でクルマを仕上げる力は、フォーミュラ参戦歴が浅いドライバーよりも自信があります」 「ただ、マカオGPはフリー走行1回目でポンと乗って、予選に向けてセットを合わせられるような甘い世界ではないでしょう。そこで重要なのが持ち込みのセットアップです。持ち込みセットから如何にアジャストできるかが勝負となるので、今(走行前日)はもう戦いが始まっていると感じています」 刻々と変化するコンディションや可能性を冷静に分析し、分かりやすく言葉に出すことができるという印象の小川。そんな小川に、今回のマカオGP参戦の理由を尋ねるとこう語った。 「去年FRJでタイトルを獲り、リージョナルマシンに対する知識や、どうすれば速く乗れるのかという部分でも理解が深まったと思います。マカオGPという大舞台だけに、FIA-F4ドライバーや今季FR参戦ドライバーが参戦するのが王道だとは思いますが、去年のFRJ王者として、日本代表と言ったら恥ずかしいですが、去年一緒にFRJを戦ったドライバーたちの思いも背負っての参戦です」 「どれだけFRJドライバーがマカオで戦えるのか、FRJを戦ったみんなも楽しみにしてくれていると思います。FRJドライバーがマカオで如何に戦えるのか、それを確かめるために今回のオファーを受けました」 最後に、小川に今週末の目標を尋ねた。 「もちろん優勝で、お願いします!」 第71回マカオグランプリ、明日のFRワールドカップは、走り始めとなるフリー走行1回目は日本時間10時15分から行われ、続いて日本時間16時25分から予選1回目が行われる。 [オートスポーツweb 2024年11月13日]