【回顧2024】引き取り手なく…全国で急増する無縁遺体
歴史学者だった今西一さんは北海道の大学を定年退職し、京都市内で一人暮らしをしていましたが、2022年1月に急性心筋梗塞を発症。救急車で搬送され、息を引き取りました。 大学時代に知り合って以降、50年来の友人だったという堀さんは、今西さんと連絡が取れないことに違和感を覚え、今西さんの弟夫婦に報告。共に警察や病院などを訪ね歩き、3か月後になって、亡くなっていたことを知りました。 堀さんが憤るのは、行政による親族調査の仕組みです。 今西さんの遺体を引き受けた京都市は、国のガイドラインに従い、京都市内に限定して戸籍調査を実施。しかし、弟を含む親族の戸籍情報は京都市外にあったためたどりつかずに、今西さんを「無縁遺体」として火葬しました。 (友人を亡くした堀和生さん) 「葬送という手続きが行われていないために、ものすごい混乱が起こるんですね。心も含めてですね。やっぱり弟さん夫婦もおっしゃってましたけれど、お見送りをしたかった、と」
「無縁遺体」をめぐる問題を受け京都市も対策を講じました。親族調査などに係るマニュアルを市独自に作成し、調査対象を全国に広げたうえで、兄弟のみならず、甥や姪にまでさかのぼって調べることを明記しました。ただ、判断をあまり先延ばしにできない現状は、他にもあります。 (京都市の担当者) 「保管場所っていうのも、一方で一つの問題ではあるかとは思います。保管いただいている時間が長ければ長いほど経費というのがかさんでくる」 また、この担当者の部署の名称は、「地域力推進室」。「無縁遺体」を専門に取り扱う部署ではありません。 (京都市担当者) 「『総務』という部署ですので、労務の関係や選挙もありますし、あと、いろいろな地域のイベントごとの仕事もやっておりますので…」 統一的なルールがない中で、自治体は日々対応に追われています。
■「十分に生きた証を最後に示すーそれが死」人生最後にどうありたい?
2025年には団塊世代のすべてが後期高齢者となる中、顕在化してきた「無縁遺体」の問題。事前に自分や家族の最後について考える「終活」が広がっています。 8月末に東京都内で開かれた、日本最大級の終活イベントには、2日間で1万3千人が訪れました。 (来場した70代の女性) 「今のところ全然そんなこと(終活を)考えてないんですけど、でもこういうところに来ると、やっぱりちょっと考えてから生活していった方がいいかなという気はします」 来場者の中に、自分たちの入るお墓の商談をする夫婦の姿がありました。 (来場した夫婦) 「管理費って年間ですよね。私の口座から下ろすにしても、もし死んでしまったら…」 (ブース担当者) 「その心配はありますよね。今日お申し込みされますか?」 (来場した夫婦) 「その予定でいます」 この夫婦が納骨する場所として選んだのは、千葉県にある”古墳型”の共同墓地です。 (来場した夫婦) 「子どもが千葉に住んでいるので、ちょっと興味がわきまして」 (Q:息子さんにはどう説明する?) 「ちょっとびっくりするかもしれないですけど、賛成してくれると思います」