大神いずみ「女子アナ時代、博多弁の〈ずんだれる〉を堂々と公共放送に乗せた私。〈言い間違え〉の類いを思い出して笑えるのって幸せだ」
大神いずみさんは、元読売巨人軍の元木大介さんの妻であり、2人の球児の母でもある。2人の球児の母として伴走する大神さんが日々の思いを綴る。 【写真】大神さんの台本。日付は31年前の今頃。噛まない秘密の赤丸って? * * * * * * * ◆18歳までは博多弁バリバリだった わたしは福岡出身で、18歳までは地元の博多弁バリバリな言葉を喋っていた。 「今日なんしとったとー?(今日何してたの?)」 「あした塾げな。遊ぼうと思いよったのに、ほんにしゃあしかぁ。 (あした塾なんだって。遊ぼうと思ってたのにホントめんどくさい。)」 その私が大学の進学で東京(神奈川)に出てきてあっという間にこちらの言葉に慣れ、気がつけば会社に入ってアナウンサーになるための研修を必死で受けていたわけだが…。 ある日ナイター中継終わりの2分間天気予報を担当した時のこと。 15秒の顔出しはフリートークで、「こんばんわ」のあとに一言二言話すことを考える。 新人の頃はこの15秒のコメントを何度も何度も何度も練習して、 本番のカメラに赤いランプがついた瞬間、 ボンっ!! 覚えたコメントが頭の中で真っ白になり、あんなに何百回も練習したのに何も言葉が出てこない。無言のうちに天気図に切り替わって予報の原稿を読む…と言う悪夢を何度も経験した。 (これ、度胸の問題らしく、最初から平気な人は全く言い澱まない。私はまともにできるまで5年はかかった気がしている)
◆「ずんだれる」て何!!? この日は夏の猛暑で、朝からロケで外を走り回ったあと会社に帰って夜の天気予報の担当だった。 一日中汗をかいて、頑張ったメイクも衣装もヨレヨレで局に本場ギリギリに戻ってきたので、 「こんばんわ。今日は一日、暑かったですね。汗をかきながら外で過ごしていたら、いつのまにか着ていたブラウスがずんだれてしまっていました。明日も同じような暑さになりそうです。では予報です」 ちょっとこなれたカメラ目線で、発声正しく、最後まで朗らかに笑顔でコメントしきったあと、完璧な予報原稿読み。 時間にもきっちり収まり、完璧なアナウンサーとしての仕事を終えて帰った…つもりだった。 アナウンス部に帰ってみると、先輩方のプスプス刺すような厳しぃいお言葉の嵐。 「ずんだれる」て何!!? アクセントも完璧だったし…、え?まさか日本中の人がわからない言葉だとはゆめゆめ思っていなかった。 そう、「ズレて垂れ下がる様、だらしがなく見える様子」を「ずんだれる」というのである。 公共放送に笑顔でデデン!とのせてしまった正真正銘の博多弁。 工夫したユーモアでもなくやってしまった、わたしの赤っ恥だ。 実は白状すると、やらかしたのはこれだけじゃないのが怖いんですけど…。
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