忙しい年末には歌舞伎座の一幕見で話題の玉三郎・團子、浅草観音初詣のあとは勢いのある若手の舞台を
■ あの人気時代劇ドラマが歌舞伎座で 1月の歌舞伎座の寿 初春大歌舞伎(1月2日~26日※休演・貸切日あり)で幕見をするなら、岸本さんは夜の部、中村隼人主演の『大富豪同心』だという。 累計100万部超えの時代小説『大富豪同心』(幡大介著・現在29巻まで刊行)を原作に、2019年からNHKでシリーズ3作まで放映され、年末には『大富豪同心スペシャル』も予定されている人気作が、今回初めて舞台化される。 テレビでも隼人が演じている主人公は、江戸一番の豪商・三国屋のおっとりした超ぼんぼんで、ひょんなことから同心になった八巻卯之吉(やまきうのきち)。 松本幸四郎(51歳)、尾上松也(39歳)、竜雷太、石井正則、渡辺いっけい、稲森いずみらが脇をかためて、コミカルな時代劇として人気を博している。 「相手が刀を抜くと卒倒してしまうし、剣の使い手である恋人の気持ちはまったく読めない。金銭感覚は桁違い。ヌケているのに憎めない主人公が隼人の持ち味と合って、当たり役となりました。 この同心・卯之吉とうりふたつの将軍の実弟・幸千代を、隼人が二役で演じています。幸千代のほうはキリっとしていて剣の腕も立つ。ふたりが入れ替わったりするのがまた面白いんです」 今回の歌舞伎座でも、幸千代が登場し、隼人がふたつのキャラクターを演じ分けて楽しませてくれる。 同じく夜の部の『二人椀久(ににんわんきゅう)』でも若手が活躍する。『椀久』は踊りの名手・中村富十郎(1929年~2011年)と中村雀右衛門(四代目・1920~2012)のコンビが有名で、誰もが踊れるというものではない。 「今回は、尾上右近(32歳)と中村壱太郎(かずたろう・34歳)。ふたりが、これからの歌舞伎舞踊を担っていくということの表れでしょう。右近は、バラエティー番組などでおなじみですが、特に舞踊は、若手の中でもとびぬけた上手さです」