忙しい年末には歌舞伎座の一幕見で話題の玉三郎・團子、浅草観音初詣のあとは勢いのある若手の舞台を
年末年始は華やかな演目も多く、歌舞伎ビギナーも見どころの多い時季。だがしかし、慌ただしい年末となると、コスパ、タイパも心をよぎる……。数十年後、観ておいてよかったと思えるために、歌舞伎通が使っている裏技とは? これだけはチェックしておきたい見どころとは? 【写真】「天守物語」のモデルになったといわれる世界遺産・国宝の姫路城 文=新田由紀子 ■ 歌舞伎座12月は「幕見」という裏技で 「歌舞伎を観るのは時間がかかるのがネック。休憩を挟んで約3時間~3時間半くらいかかるので、忙しい時には一幕見(ひとまくみ)が便利ですね」と語るのは、歌舞伎を観続けて40年近くになる岸本美子さん。数年前に起業して12月は特に忙しいという彼女のように、“一幕見”は通が利用するやり方のようだ。 「江戸時代の歌舞伎は、朝早いうちから行って、夜まで観る一日がかりだったといいます。『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』『義経千本桜』といった名作も、“通し(とおし)”といって全幕を上演すると、とても現代の上演時間ではおさまりません」 そこで、今では、“通し”なら2か月に渡って上演することも。“見取り(みどり)”といって、人気のある面白い幕だけをピックアップして上演することも多い。 そして、長い時間は取れないという観客にとって便利なのが、歌舞伎座の最上階(4階)などで行われている一幕見というシステムだ。 歌舞伎座の一幕見のチケット購入方法は、次の2通り。 (1)観劇前日の昼12:00からオンラインで購入できる4階指定席(約70席)。クレジットカード決済で、一人4枚まで購入可能。 (2)当日売り出される4階自由席(約20席)。当日劇場1階の一幕見席窓口にて現金のみで、一人1枚購入可能。人気の演目の場合は早めに窓口に行ったほうがいい。 「時間に余裕があれば、半日かけて歌舞伎を観るのもいいのですが。夜の部3つの演目のうち、これとこれは観なくてもいいけど、こっちだけは観ておきたいというようなこともあります。そういう時に便利なのが、観たい演目だけ観られる幕見。 かつての歌舞伎座の幕見席は、急な階段をぜーぜー言ってのぼったものですが、2013年に建て替えられてからはエレベーターもありますし」