“液状化”した町 復興のカギは「住民が主体的に動く」 17年前の地震の被災地に学ぶ対策
能登半島地震では、震源から100キロ以上離れた内灘町でも「液状化」で大きな被害が出ました。 【写真を見る】“液状化”した町 復興のカギは「住民が主体的に動く」 17年前の地震の被災地に学ぶ対策 通常の地盤は、結合した土の粒子の間を水が満たしている状態で安定しています。これが地震の揺れによって土の結合がなくなり、水に浮いた状態となります。地震の後、土の粒子が水に沈み、地盤の沈下や亀裂が発生するというのが液状化のメカニズムです。液状化が起こった地域では地盤改良が必要となり、復旧に時間がかかります。行政と住民の思いが交錯する内灘町、そして同じ液状化から立ち直った新潟県を取材しました。 「みなし仮設に入れてもらい待っています。正直私自身も折れかけている」 声にならない声で窮状を訴える住民たち。 「今まで出ていった人も好きで出て行ったんじゃない。みんなここに残りたくて待ちたくて、でも待ちきれなくて。10年も20年も時間かけている暇はない」 去年11月、内灘町西荒屋地区では3度目の住民説明会が開かれました。 液状化が発生した内灘町。道路は波打ち、家は後方へ沈み込むように傾きました。震度は5弱だったものの、建物への被害は3300棟を超えています。 ボーリング調査の結果などから国交省が提案した工事の方法は2つ。地盤改良工法と地下水位低下工法です。 地盤改良工法は地盤を締め固めたり砂でできた杭を打ち込んだりするもので、近年、実績が多いものの費用が高いなどのデメリットがあります。 地下水位低下工法は、道路の下に排水管を設置し地下水位を下げるもので家屋があっても工事できる一方、地盤沈下のリスクなどがあります。 いずれの工法を選んでも着工まで早くてあと2年かかり、工期も5年から10年に及ぶ見通しです。 「どちらの工法を行うにしても当然住民の合意が必要」 住民「どっちにするにしても合意。これみんな遅い遅いと評判や。内灘町は何するにしても遅いって」 先の見えない焦りから、声に憤りがにじみます。この土地で暮らし続けるうえで、地盤に対する対策は避けては通れないからです。