豊昇龍が自己最速タイ9日目で勝ち越し「毎日ビリビリしてるよ」疲弊した体を低周波治療器でケア
<大相撲九州場所>◇9日目◇18日◇福岡国際センター 大関豊昇龍(25=立浪)が初優勝した昨年名古屋場所以来となる自己最速タイの9日目で勝ち越しを決めた。美ノ海を豪快な上手投げで破り、大関昇進後初の優勝に向けて力強く前進した。大関琴桜も欧勝馬を押し倒して勝ち越し。東前頭6枚目の隆の勝も狼雅を突き落として勝ち越し、3力士が1敗でトップに並んだ。 ◇ ◇ ◇ 闘争本能を全開にした。豊昇龍は小柄な美ノ海の懐への侵入を許さず。右上手を取ると豪快に振り回して投げ飛ばした。「よかったと思います」。らしい、荒々しい相撲はまさに本領発揮。初優勝で大関昇進を決めた昨年名古屋場所以来、自己最速タイの9日目の勝ち越しを決めた。 ただ大関本人は「勝ち越しとか意識してないんで。自分は全く気にしていない。その日の相撲に集中することしか考えていない。しっかり集中して相撲を取ろうと土俵に上がりました」と優等生発言に終始した。 昨年秋場所の昇進から大関在位8場所目。負け越しこそないが、大関として優勝を成し遂げていない。今場所前も「優勝、したいねえ」と渇望する思いを隠さなかった。おじの元横綱朝青龍は3場所で大関を卒業した。豊昇龍もさらに上の番付を強く意識する。 「(体重は)増えた」とはいえ、150キロ台で他の2大関、琴桜と大の里とは30キロ近い差がある。それでいて相撲は大きく、疲労の蓄積も人一倍ある。「疲れはやっぱりあるよね」と認めた上で“秘密兵器”を明かした。家電量販店で低周波治療器を購入。「毎日、ビリビリしてるよ。MAXが20だけど俺は12ぐらいかな」。疲弊した体をビリビリさせてよみがえらせ勝負の後半戦を迎えた。 「(優勝争いは)意識しないようにしてます。1日一番、しっかりとるだけ」。最近では珍しく、大関陣が崩れずに優勝争いを引っ張る。しびれるような戦いが続く残り6日間。豊昇龍がビリビリしながら、抜けだしを図る。【実藤健一】