「冤罪のリスクも…」警察が弁護士に“被疑者との接見”で「スマホ使用」を禁止 “他人ごと”ではない「接見交通権・秘密交通権侵害」見逃されがちな問題
今年9月、山梨県警日下部警察署で、過失運転致死傷罪の容疑で逮捕・勾留されていた被疑者との初回の接見に訪れた弁護士が、接見室でのスマートフォンの使用禁止を通告されていたことがわかった。 【画像】刑事裁判の有罪率は「99.9%超」ときわめて高いが… 本件でスマートフォンの使用を禁止された福原啓介弁護士は、弁護士JP編集部の取材に対し、「これまで、他の警察署で接見室での接見時にスマートフォンの使用を禁止されたことはなかった」と述べる。その上で「本件の警察の措置は被疑者と弁護人との間の『接見交通権』及び『秘密交通権』を侵害するものであり、憲法・刑事訴訟法上、問題がある措置だ」と指摘する。
被疑者との接見で、弁護士のスマートフォンが果たす“役割”
接見交通権は、被疑者が弁護士と立会人なく接見し、書類・物の授受を行う権利である(刑事訴訟法39条1項)。また、刑事事件の被疑者に認められた『弁護人依頼権』(憲法34条後段、刑事訴訟法30条1項)を実質的に保障するものとされる。 福原弁護士は、現代の刑事弁護において、被疑者との接見の際に弁護士がスマートフォンを使用することの重要性を説明する。 福原弁護士:スマートフォンがあれば、被疑者の話を聞き、その場で速やかに事実確認を行うのに役立ちます。 特に、本件の被疑事実は交通事故に関係するものだったので、事故現場の状況をストリートビューで確認する必要がありました。また、被疑者が外国人だったので、分からない言葉をスマートフォンで調べなくてはなりませんでした。 さらに、最近の弁護士は、法令や判例等をインターネットや判例検索システムで確認することも多くなってきましたので、そのためにも、スマートフォン等インターネットにつながる電子機器は必要不可欠です。 スマートフォンの使用が認められないことにより、被疑者の防御活動等に関するアドバイスが難しくなるほか、弁護方針の決定にも支障をきたしてしまいます。 加えて、スケジュール管理をスマートフォン等によってオンラインで行っている場合には、スマートフォンがなければ、次回の接見を設定するためのスケジュール確認ができません」