「冤罪のリスクも…」警察が弁護士に“被疑者との接見”で「スマホ使用」を禁止 “他人ごと”ではない「接見交通権・秘密交通権侵害」見逃されがちな問題
「早期の釈放」実現のためスマートフォン活用の必要性
その他にも、被疑者・被告人の早期釈放をめざすため、接見室での接見において、弁護人が自身の事務をサポートするパラリーガル、事務員と連絡をとることが認められるべき場合も想定されるという。 福原弁護士:「たとえば、身柄拘束に対する異議申し立ての手段である『準抗告』の手続きの書類を迅速に作成する、身元引受書を事前に用意して印刷しておいてもらう、などのためです。 特に被疑者段階の刑事弁護を行う際は、弁護人は一日も早く被疑者を釈放に導くために、『準抗告申立書』等の書面のみならず、その書面の内容を裏付けるための『身元引受書』や、勤務先の方の『陳述書』等の添付資料が必要です。 弁護人は、それらの書面を限られた時間の中で作成または収集しなければならず『時間との戦い』をしています。 これらの作業の事前準備を、弁護士の事務をサポートするパラリーガルや事務員にお願いすることは、被疑者・被告人の早期釈放を目指す際の時間短縮との関係でも、非常に重要です。 したがって、接見中の段階においても法律事務をサポートする方々に連絡する手段を整える必要性は大いにあります。そのために、スマートフォンの使用は不可欠といっても過言ではありません。接見交通権および弁護人選任権の実効性を高めるという意味で、接見交通の一環として認められるべきです」 接見交通権が実を挙げるには、弁護士が、限られた接見時間のなかで被疑者・被告人と十分にコミュニケーションをとり、必要かつ有効なアドバイスを最大限に行う必要がある。 そして、その際、外部からいち早く情報を得る、パラリーガル等と連絡をとり手続きがスムーズに進むように努めるなど、被疑者と弁護人との接見交通を充実させるために、スマートフォンが欠かせないツールになっていることは否定できないだろう。 特に、日本の刑事司法では自白を得るために長期の身柄拘束を行う「人質司法」の問題や、冤罪や違法取調べの問題が指摘されてきている。被疑者段階での接見交通権を充実させることは、司法官憲による人権侵害を防ぐ要請から急務といえる。その観点からも、接見時に弁護士がスマートフォン等の電子機器を利用できる重要性が増していると考えることもできるだろう。