冬休みは「マインクラフト」で親子でデジタルものづくり。子どもの自己肯定感をあげるために親がするべきことは?
販売本数は3億本を越え、世界でいちばん売れたゲーム「マインクラフト」、通称“マイクラ”。このマイクラが教育に活用されていることを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。では、いったいマイクラでなにをすれば勉強になるのか、なんの役に立つのか、2024年で第6回を迎えたマイクラの作品コンテスト「Minecraftカップ」の運営委員長で東京大学の鈴木寛教授に伺いました。
「好きに勝る努力なし」。だからこそ「マイクラ」を
今や小中学生の親世代で知らない人はいないのではないかというほど、絶大な知名度を誇るゲーム、「マインクラフト」。『まいぜんシスターズとマイクラを遊ぼう! 』『もっと まいぜんシスターズとマイクラを遊ぼう!いたずら編 』(ともに扶桑社刊)をはじめ、マイクラの書籍がたくさん発売されてヒットしています。 「2023年、日本の教育の指針が変わり(第4期教育振興基本計画によって)、その文部科学省の計画のなかで、これから重要になってくる教育のキーワードが3つ挙げられました。それは『(1)教育のDX』『(2)探究型学習』『(3)STEAM学習』です」(鈴木寛教授、以下同じ) 「この3つを簡単に説明していきましょう。 まず『教育DX』とは、これは教育のデジタル化、ICT化のこと。 2025年から大学入試の共通テストにプログラミングや情報ネットワークについての科目『情報』が入試科目として追加されます。これはプログラミングなどの情報分野を教育の一環として取り入れられ、優秀な人材を育てていこうということ。つまりは今後の日本は情報分野に重きを置いているという現れです。 同じく大学入試では『総合型選抜』といった入試が多くの大学で取り入れられています。これが2点目の『探究型』の入試です。探究型学習とは自分で課題を設定し、その解決に向けてさまざまな科目の総合的・横断的な知識を使用していく学習のこと。昔はAO入試と呼ばれていましたが、AO入試が学力を問わなかったのに対して、総合型選抜は学力も含んでいきます。つまり、個人がもつさまざまな秀でた能力だけでなく、きちんと学力も必要ということです。現在、全国の国立大学の約3割が総合型選抜です。 3点目のSTEAMは科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の頭文字をとったもので、これら5つの分野を統合的に学ぶ教育のことです。 マインクラフトはいま教育が目指している3点の非常に重要な要素をすべて含んだ教育コンテンツなのです。マイクラはゲームではなく『デジタルものづくり』。ワールドを構築することによって自然に楽しくプログラミングが学べます。外発的要因ではなく内発的に、自発的に学ぶことができる。マイクラに夢中になれれば、気がついたらプログラミングができていた。まさに『好きに勝る努力なし』です。 そして、マイクラには圧倒的な自由さがあります。『今日はなにをして遊ぼうかな?』と、自分で目標やお題を設定し、ブロックを使って世界を構築していきます。この自発的な課題設定とその解決はまさに“探究型学習”そのものです。 また、マイクラを友達や家族など、複数人でプレイするにはコミュニケーションが不可欠です。共同作業にあたっての目標や進捗の共有などの意思疎通、そしてスケジュール管理など、おのずとプロジェクトマネージメント能力も身についていくのです」