伊藤忠がいよいよ本気、「アニメ・IPで1000億円」構想の衝撃 「おぱんちゅうさぎ」アジア展開も
■総合商社への懐疑論を払拭できるか 伊藤忠がこれだけ本気なのだから、ほかの総合商社もこのビジネスに目を付けないはずがない。丸紅は6月、小学館と日本のマンガ・アニメコンテンツのグッズ開発・販売や海外流通網の構築などを担う合弁会社・MAG.NETを設立した。 同社は2022年に講談社と集英社、小学館を束ね、AI(人工知能)やICタグなどを活用した出版流通改革の合弁企業を設立。ある丸紅関係者は「裏側の本音として、世界に向けたキャラビジネスへとつなげたい。これまで出版業界との付き合いがなかったので、まずはその課題解決から始めた」と明かしていたが、いよいよ動きが本格化してきた。
ただ、エンタメ業界内では、「ベイブレード」で実績を上げたアニメ会社を2015年にアサツー ディ・ケイ(現ADKマーケティング・ソリューションズ)へと売却した三菱商事などを含め、総合商社は“アニメビジネスから一度逃げたプレーヤー”という烙印を押されている向きもある。その本気度に対する懐疑論はいまだ根強い。 伊藤忠はエンタメ・IPビジネスで稼ぎを積み上げ、ソニーグループや東宝、バンダイナムコグループなどと比肩するプレーヤーになれるのか。追随する同業との違いを見せつけ、エンタメ業界からの信頼を勝ち取ることも、成功に向けたカギを握りそうだ。
森田 宗一郎 :東洋経済 記者