ともに戦ってきた仲間、お世話になったスタッフ、サポーターのために…横浜FMユース、愛媛U-18に逆転勝利でプレミア復帰に王手!!
[12.6 高円宮杯プレミアリーグプレーオフDブロック1回戦 愛媛U-18 1-2 横浜FMユース 広島広域公園補助競技場] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 プレミアリーグから降格して1年。苦しいリーグ戦を乗り越え、最後の舞台に辿り着いた。メンバー外となり、広島に来られなかった仲間のため。お世話になったスタッフ、サポーターのため。感謝の想いを表し、喜びを届けるべく、まずは第一関門を突破した。 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 プレーオフが6日に開幕し、1回戦が行われた。Dブロックの愛媛FC U-18(四国、愛媛)と横浜F・マリノスユース(関東2、神奈川)の一戦は、横浜FMユースが2-1の逆転勝利。ガンバ大阪ユース(関西1、大阪)との2回戦(8日)に進出した。 「怪我で広島に来られなかったメンバー、20人の遠征リストに選ばれなかったメンバー。ファン、スタッフ、いろんな人が関わってプレーオフに辿り着いた。そういう人たちに感謝をして、僕たちは喜びを届けたい。みんな熱い気持ちを持って試合に入った」(MF德田佑真/3年) 昨季、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTから降格したチームにとって、1年での復帰は至上命題。U-18高円宮杯プリンスリーグ関東1部2位でプレーオフ行きを決めたが、広島に帯同できる選手は20名しかいない。キャプテンのDF埜口怜乃(3年)、U-16日本代表で今季のACLでトップチームデビューを飾っているFW浅田大翔(2年)は怪我で不在。他にもピッチに立てなかった者がいる。そうした仲間のためにも、絶対に負けは許されない。覚悟を持ってキックオフを迎えたが、横浜FMユースは立ち上がりから愛媛U-18に苦戦を強いられる。相手の粘り強い守備と縦に速い仕掛けに手を焼き、開始2分にはいきなりゴール前に進入され、FW青木壱清(2年)にシュートを打たれてしまう。頼みの攻撃陣はボールを動かすものの、相手の守備網を打開できずにブロックの外でパスを回す時間が続いた。 前半の半ばにプレスの掛け方を修正し、セカンドボールを回収できる場面は増えたが、右サイドハーフのMF関野愛紀(3年)やトップ下のMF加藤海輝(2年)に良い形でボールが入らない。決定機と呼べたのは、前半終了間際に左SBに入ったDF白須健斗(3年)のセンタリングが直接ゴールに向かってバーを叩いた場面くらいだった。 その状況下で迎えた後半。チームは流れを変えるべく、187cmの大型FW横山俊介(3年)を投入する。だが、積極的な交代策とは裏腹に出端を挫かれてしまう。1分に左サイドを打開され、最後は愛媛U-18のMF日野魁柊(3年)に先制点を決められた。 しかし、この一撃でチームは目を覚ます。配給役を担うボランチの德田が散らし、サイドからのクロスでチャンスを創出。最前線に入った横山もゴール前でターゲットになり、徐々にシュートに持っていく回数が増えた。すると、13分。FKの流れからCB奥寺湊(2年)がファーサイドからヘッドでネットを揺らし、試合を振り出しに戻す。勢いに乗ったチームは果敢に攻め続けると、25分に待望の逆転ゴールが生まれる。直前に投入されたMF上西遥喜(3年)が右サイドからボールを入れると、横山が頭で合わせた。 「後半は横からのボールに対して、ヨコ(横山)が必ず敵の前に入ってくれるから、絶対にボールを上げていこう」(冨樫剛一監督)とは指揮官の言葉。采配が見事にハマり、リードを奪った。 残りの時間帯は相手に攻め込まれるシーンも目立ったが、CB藤井翔大(2年)を中心に身体を張った守りでリードを死守。最後まで集中力を切らさなかった横浜FMユースが2-1の逆転勝利で1回戦突破した。 「昨日の夜、ミーティングをした時に、『仲間の想いを背負う』などいろんな言葉が出たけど、それを実行できるのは広島にいるメンバーだけ。それも含めて、この勝利は嬉しい」(冨樫監督) 今季は怪我人が多く、思うようにメンバーを組めない時期が続いた。特に後半戦は結果が出ず、苦しい戦いを強いられている。そうした状況下でチームは結束を深め、まずは初戦を突破した。だが、まだ何も成し遂げていない。最後の一勝を掴むべく、今季の集大成となる大一番に横浜FMユースは挑む。 (取材・文 松尾祐希)