アジャコングが明かす、ブル中野からベルトを獲ったあとの苦悩 今はリング上で相手と「会話」をしながら闘う
■『今こそ女子プロレス!』vol.25 アジャコング スペシャルインタビュー(4) (連載3:長与千種は憧れでありライバル プロレスを続けるきっかけになった「失望のシングルマッチ」も振り返った>>) 【写真】「常に今が史上最高」アジャコング フォトギャラリー 今のアジャコングが「アジャコング史上最高」――。最高のアジャコングはどのようにして生まれたのか? その謎に迫るインタビュー第4回では、ブル中野との抗争、「チャンピオンの器」、リング上での相手との「会話」などについて聞いた。 【ブル中野からベルトを獲ったあとの悩み】 ――かつてアジャ選手は、「強くなりたいというよりも、強いアジャコングでいることをみんなが求めているから、『みんなが求めるアジャコングにならなきゃいけない』という気持ちがすごく強かった」と発言していますね。 アジャ:20代の頃、(ブル)中野さんとやっている当時ですかね。ただ、中野さんからベルト(WWWAシングル王座)を獲った瞬間に思ったのは、「よし、やったぞ!」じゃなくて、「明日からどうしよう......」だったんです。当時の私はブル中野を倒すことを目標にやってきたので、それがなくなってしまった時に、喜びよりも「明日から私、何をすればいいんだろう」という思いが先に来てしまって。 ――燃え尽き症候群のような? アジャ:ある意味そうですね。ちょうどその頃から対抗戦が始まったんですけど、私からするとそんなのどうでもいい。最強のブル中野を倒しているんだから、これ以上のものはない。中野さんに「これからお前の時代だ」とマイクで言っていただいて、その時に「強いアジャコングでいなきゃいけない」と思いました。ブル中野を倒したアジャコングなんだから、最強でいなきゃいけない。今考えれば、「最強って何?」という話なんですけど。 「最強ってどうしていけばいいの?」「ずっと勝ち続けることが最強なのかな?」とか、いろいろ考えました。当然、最高峰の"赤いベルト"を誰にも獲られてはいけないっていうのはあったんですけど、ただ、誰かとやって守っていくだけでいいのかとか、ファンや周囲が思うアジャコング像はどういうものなのかとか、すごく考えて深みにはまった時期だと思います。 ――今はどのように考えていますか? アジャ:今はなんにも考えてないです。私がやりたいことをやって、それを見る人たちが面白いと思うかどうかはそちらの自由、という感じになりました。年齢も重ねてきて、今が最高の自分ですけど、最強だとは思っていない。若くて活きのいい選手とやれば、結果として負けることはあるかもしれないですけど、でも、内容では勝ってたかもしれないよね、とか思ったりもしますね。