終活のプロが教える、子どものいない夫婦が陥りがちな「相続」の課題。自分も〈おひとりさま〉になることに気付かない〈おふたりさま〉は老後の準備が甘い傾向に…?
◆しかし、いつか直面するのが「老後」の課題 ただし、すべてのおふたりさまに必ず取り組んでいただきたい「課題」があります。 それが、老後の準備です。 申し遅れました。私は北海道で終活のお手伝いをしております、松尾拓也と申します。 普段はお墓屋さんと仏壇屋さんの社長を務めながら、行政書士として相続や遺言の作成やアドバイスもするという、ちょっと風変わりな仕事をしています。 お墓に仏壇に遺言に相続ですから、まさに終活全般のお手伝いを生業としているわけです。 そんな私が、常日ごろから気になっていたのが、おふたりさまの老後の準備や終活についての情報が少ないこと、でした。 なぜなら、多くのおふたりさまは、いずれ次のような老後の課題に直面することになるからです。 〈おふたりさまが直面する老後の課題〉・自分たちの財産を相続するだけなのに、相手の親兄弟が関係してくる・身元保証人が見つからず、入院や施設への入所すらままならない・認知症になってしまった相手の預貯金や投資財産を引き出せない・自分たちのお墓や納骨してくれる人について、どうしたらよいのかわからない 一番大きな問題は、多くのおふたりさまが、自分たちにこうした課題があることに気づいていない点にあります。
◆老後の準備が甘い「おふたりさま」 いわゆる「おひとりさま」の老後に関する情報は、意外とたくさんあるものです。 だからというわけではありませんが、おひとりさまのみなさんは、老後や終活に関する意識も高く、遺言やご自分のお墓など、早いうちからしっかり準備をしている人が少なくありません。 「私ひとりだから、自分でなんでもやっておかないとね」なんておっしゃるその表情からは、ご自分一人で人生を生き抜いてきたという、自信と気概が感じられます。 老後の準備に取り組むおひとりさまが多いのは、「最後まで自分一人で生きていく」という覚悟と決意の表れなのかもしれません。 対して、おふたりさまの場合は、いつも隣に伴侶がいてくれます。そうなると、つい安心したまま年を重ねてしまうものですよね。 しかしながら、どんなに仲のよい夫婦でも、またそうでない夫婦でも、同時に亡くなることはまれです。人生の最期を迎えるタイミングは、夫婦であっても別々なのです。