終活のプロが教える、子どものいない夫婦が陥りがちな「相続」の課題。自分も〈おひとりさま〉になることに気付かない〈おふたりさま〉は老後の準備が甘い傾向に…?
2023年の国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」によると、50歳時の未婚率は増加傾向にあります。人生の選択は人それぞれであり、結婚する、子どもをもつことが当たり前の時代ではなくなっています。ここでは、お子さんのいないご夫婦を、「おふたりさま」と呼び、焦点をあてています。行政書士、ファイナンシャル・プランナー、相続と供養に精通する終活の専門家が、「おふたりさま」はもちろん、おひとりさま・子どもに頼りたくない人も、知っておきたい知識をまとめた、『「おふたりさまの老後」は準備が10割:元気なうちに読んでおきたい!68の疑問と答え』から一部を抜粋して紹介します。 【書影】子供のいない夫婦の「老後」「相続」の課題や悩みを、終活のプロから学ぶ『「おふたりさまの老後」は準備が10割:元気なうちに読んでおきたい!68の疑問と答え』 * * * * * * * ◆人生は十人十色。一生結婚しない人は、男性は約3割、女性は約2割 少子高齢化が叫ばれて久しい日本。人口減少や縮小する経済など、ネガティブな側面ばかり取り沙汰されますが、私は多様性の時代の結果であるとも考えています。 結婚する人、しない人、子どもをもつ人、もたない人……。 人生の選択は人それぞれであり、結婚する、子どもをもつことが当たり前の時代ではなくなっています。 ひとりでレジャーや外食を楽しんだり、独身を謳歌したりという「おひとりさま」という言葉も当たり前になりました。 50歳時の未婚率(50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人の割合)は、男性が28.25%、女性が17.81%で、増加傾向にあります(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」2023年)。 男性の約3割、女性の約2割が結婚しない人生を選んでいるわけです。婚姻という制度に縛られず、パートナーと人生を歩む人もいるでしょう。
◆子どもをもたない「おふたりさま」には、メリットもたくさん 一方、結婚したとしても、子どもをもたない夫婦も増えています。 子どもを産み終えた夫婦の平均子ども数(結婚持続期間15~19年の夫婦の出生子ども数)を見てみると、子どもの数が0人の夫婦が7.7%と、こちらも、増加傾向にあります(国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」2021年)。 つまり、「おふたりさま」ですね。お子さんのいないご夫婦を、ここでは「おふたりさま」と呼ぶことにして、焦点をあてています。 〈おふたりさまのメリット〉・共働き世帯が多く、経済的に豊か・子どもの教育費がないため、貯蓄がしやすい・ケンカの原因となりやすい「子ども」「お金」などの問題がないため、仲がいい・結婚しても、趣味や遊びを楽しめる 「おふたりさま」というかたちを選択した理由や背景は、ご夫婦によってそれぞれでしょう。 そして、「おふたりさま」としてのご夫婦の歩みには、ご夫婦の数だけの歴史と背景があるはずです。